交通量や業務量などのピークは比較的予測しやすい。一方で、局所的・突発的に極端なピークが発生する分野がある。代表例はネットの世界。大手は大量アクセスをうまくさばく工夫を凝らしている。

[LINE]「あけおめ」時は一部機能を省く

 ネットサービスは現実社会以上に過酷なピークにさらされている。LINE社が提供する無料通話・メッセージアプリ「LINE」はその典型だ。同社はシステム障害を避けるために最大規模のピーク時には瞬間的にサービスレベルを落として乗り切る策を取る。

 LINEでは、過去最大のピーク時に1秒間で42万件ものメッセージが飛び交った。具体的には日本の元日の年明け時に通常の何十倍もの利用が集中する。いわゆる「あけおめメール」だ。

 「年明け直後のメールや電話はなるべく控えましょう」。こうした呼びかけが年末恒例となって久しい。「あけおめ」はかつて携帯電話のメールが担っていたが今やLINEに移った。

 LINE社は数年前まで年が明けるたびにピークで処理が遅延していたが、ここ数年は顕在化しなくなった。利用を控える呼びかけもしていない。

 「『あけおめ』は1年で最も巨大なピーク。真正面から対策したらいくらリソースがあっても足りない。ユーザーに支障がない範囲で特定の処理を遅らせている」。同社のLINEサーバー開発室の小野侑一氏はこう明かす。

 元日午前0時に日本が新年を迎えると、1時間後には台湾、2時間後にはタイで年が明ける。この3カ国はLINEユーザーが特に多い。それぞれのピークは、年明け前後の数分で収束する。

 対策として、毎年12月下旬ごろから新機能の追加を凍結して、負荷の変動要因を排除する「コードフリーズ」を実施。さらに大みそかに日本と台湾、タイのオフィスを電話会議で結んで技術者を待機させる。日本時間午後11時以降は10分ごとに負荷状況と対応を報告し合う特別体制を組む。

LINEの元日におけるピーク対策
「あけおめ」送受信処理は死守(グラフ提供:LINE)
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 具体的には「メッセージの送受信」だけは遅滞なく処理する。LINE社はどの処理を遅らせているかを明らかにしていないが、「既読」の表示や、オンライン・オフライン状況の表示といった機能を遅らせて、ピーク時の処理量自体を抑えているようだ。

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