学校教育の現場でも、IT活用の必要性は高まる一方だ。だが、そのための環境整備は進んでいない。日本は世界的に見ても大幅に遅れており、特に児童/生徒向が使うPCやタブレットの整備状況は目標に遠く及ばない。そんな中、文部科学省が「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」を開催し、今後の環境整備に関する一つの方針を示した。この会議の座長を務めた東北大学大学院情報科学研究科 堀田龍也教授に、学校におけるIT環境の現状と今後について聞いた。

(記事構成:八木 玲子=ITpro)

山内:これまで「教育ICTケーススタディ」欄で、教育現場でのICT(情報通信技術)活用事例を取り上げてきました。今回は特別編として、タブレットや電子黒板など学校のICT環境の現状と今後をテーマにします。学校には今どんな環境が整備されているのか、今後どうなっていくかについて、東北大学の堀田先生にお話をうかがいます。

 堀田先生は、文部科学省の「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の座長を務められました。有識者会議は2016年11月に始まり、その成果が2017年8月に「最終まとめ」として公表されました。

 この最終まとめには、かなり重大なことが書かれています。少なくとも今後5年間の国内の教育現場に大きな影響を与えるはずですが、あまり知られていません。ぜひ広く知ってほしいという思いで、堀田先生にお越しいただきました。

 では堀田先生、まずは他国と比べて現在の日本の学校のICT環境はどんな状況にあるか、から教えてください。

堀田:世界的に見て、日本はずいぶん遅れていると言ってよいと思います。国内での格差も広がっています。

 教育現場でのICT活用と一言でいっても、そこには大きく二つの段階があります。どこの国でも、第一段階となるのは「先生が分かりやすく教えるためにICTを使う」ことです。次に、「子供たち、つまり学習者が道具としてICTを使いこなして調べたり整理したりする力を身につける」段階へと進みます。段階が進むタイミングは国によって異なりますが、流れとしてはどの国もほぼ同じです。

東北大学大学院情報科学研究科 堀田龍也教授。「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」の座長を務めた
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 日本は、教えるためのICT活用という第一段階の時点で、ほかの国にずいぶん後れを取りました。例えばイングランドで電子黒板が全ての教室に導入されたのは、2000年代の前半でした。韓国でも、2005年前後には大型ディスプレイが全教室に設置されました。同時期に日本でもこうした整備を進めようという機運がありましたが、あまりうまくいきませんでした。

 ここには日本独自の事情が関係しています。2000年の地方分権一括法施行で地方自治の時代になり、整備は各地域に任されました。結果として地域間に差が生じ、どうしても「低きに流れる」傾向もあって、なかなか進みませんでした。

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