ブロックチェーンの活用先として、最も注目を浴びている分野は金融、証券分野だ。すでに、実際の業務での活用も検討され始めている。

 ユースケースとして、まず挙げられるのは国際送金だ。現在のシステムでは、送金に要する日数やコストなどが問題となっていた。それを、各国の銀行のシステムをブロックチェーン網で接続することで、複数の銀行をまたがず、銀行から銀行への直接決済を可能とし、かつ迅速な決済が可能となる。

 従来、銀行が行っていた支払い処理や仲介手続きに要するコストを抑えられるため、低コストでの国際送金が可能になるとされている。

 証券分野においては、ポスト・トレード業務(市場での取引成立後、各口座への取引配分や取引内容の通知、資金や証券の決済、ステートメントの作成を行う業務)における活用が期待されている。また、デリバティブ商品やシンジケートローンの取り扱いにおける情報共有やスマートコントラクトを用いた契約執行などでの活用が期待されている。

Illustration by Yumiko Comukai
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 長期的な展望で見れば、ユーザー同士を結ぶ第三者機関(消費者にとっては金融機関などが該当)による「一定の条件に従って、処理を実行する」業務が、全てブロックチェーン上のスマートコントラクトで置き換えられる可能性もある。第三者として仲介することで手数料を獲得するようなビジネスが消失し、金融・証券業は新しい構造を目指す必要性に迫られる可能性があるだろう。

 また、銀行業や証券業以外にも、例えば地域通貨やポイントのような、いわゆる法定通貨ではない価値情報のやり取りも考えられる。ブロックチェーンにより、それら価値情報の流通が現在よりも容易になり、かつそれらのサービスがブロックチェーンを介してつながることで広大な価値情報ネットワークが成立しうる。

 その場合、例えば居住地であるA市で配布された地域通貨を、旅行先のB市で、各種サービスのポイントに換えて利用するなど、従来は閉じられた地域、サービス間でのみ利用されていた非法定通貨の価値情報が、それまでよりも容易に、様々な互換性をもって利用されていくこともあるだろう。

出典:「この1冊でまるごとわかる ブロックチェーン&ビットコイン」「日経ビッグデータ」「日経FinTech」共同編集(2016年12月24日発行) p.11
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