大阪ガスのデータ分析専門組織である「ビジネスアナリシスセンター」は数々の失敗を経験しながら、「どうすればデータ分析結果を現場に使ってもらえるか」「現場の意思決定プロセスや業務プロセスを変えてもらえるか」を学んできた。

 行き着いた答えは、分析結果を表示するシステムの開発に入る前に「プロトタイプ」を作り、現場で何度も試行錯誤することだった。プロトタイプはプログラミング言語で簡単なアプリケーションを作ることもあれば、エクセルのマクロ機能で簡易的に作るときもある。

 プロトタイプを作るのは、データ分析結果を現場に使ってもらうためだ。この「使わせる力」をビジネスアナリシスセンターの河本薫所長は重視している。

 データサイエンティストのなかには、高度な分析手法を駆使して問題を「解く」のが自分の役割だと考えている人が大勢いる。ITベンダーのデータサイエンティストならそれでいいかもしれない。しかし大阪ガスのような一般企業に身を置くデータサイエンティストは「データ分析で得られた結果を、現場に『使わせる』ところまでが仕事。そこまでできないと会社に貢献できない」と河本所長は説明する。

 それではここで、プロトタイプ作りがプロジェクトを前進させる原動力となり、データ分析結果を現場に使ってもらえるようになった例を紹介しよう。テーマは「データ分析による業務用ガス機器の故障予知結果」を用いた、機器の点検・保守担当者の業務プロセス改革である。

 具体的には、ガス機器の時系列データから、今後故障しそうな「予兆」をつかまえるロジックをビジネスアナリシスセンターが開発。しかも検知した予兆を現場担当者にメールで瞬時に通知できるプロトタイプまで作り、「それなら使ってみるか」と思わせることに成功した。

業務用ガス機器が故障する予兆を検知したことを知らせるシステムのプロトタイプ。異常と疑わしき兆候が見つかったら、現場担当者に自動的にメールが飛ぶ
(出所:大阪ガス)
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