セブン&アイ・ホールディングスとアスクルは2017年7月、ネット通販とネットスーパーで提携した。その背景には、アマゾンジャパンが2017年4月に都内の一部で開始した生鮮食品のネット通販「Amazonフレッシュ」の存在があることは間違いない。

 アマゾンは同6月に生鮮品の取り扱い地域を神奈川や千葉の一部にも拡大したほか、アマゾンの有料会員向けには、2時間単位の配達時間を選択できるようにして、攻勢を強めている。

 セブン&アイ傘下のイトーヨーカ堂は野菜、肉、魚の生鮮3品を扱うネットスーパーの草分けだ。2001年にヨーカ堂の店舗から商品を配送する形でサービスを開始し、既に15年以上の歴史がある。長く不振にあえぐヨーカ堂にあって、ネットスーパーは成長が見込める数少ない事業だ。これまでのネットスーパーは顧客から注文が入ると、最寄りのヨーカ堂で商品をピッキングして、顧客の自宅まで配達する形態を採っていた。

 だがそこには大きな弱点があった。ネットスーパーを利用する機会が多いと見られる共働きの富裕層が住む都心部には、ヨーカ堂の店舗がほとんどないのだ。そのため、最大の需要地である都心部でネットスーパーを展開できていなかった。顧客を取りこぼしていたわけである。

 ライバルを見渡すと、例えば西友は店舗型と倉庫型のピッキングを併用したネットスーパーに力を入れている(親会社の米ウォルマート・ストアーズは2017年8月23日に、米グーグルとネット通販で提携を発表している)。オイシックスドット大地のように、高級野菜のネット通販に特化して起業したベンチャーも健在だ。

ネットスーパーの「勝者」が不在

 しかし、ネットスーパーの“老舗”であるヨーカ堂を含めて、日本にはいまだ、ネットスーパーの絶対的な「勝者」が存在しない。楽天が始めた「楽天マート」も存在感が薄い。安定した調達や鮮度管理が難しく、物流コストもかさむネットスーパーは、それだけハードルが高いビジネスだといえる。傷みやすい生鮮品に対しては、顧客の商品を見る目も厳しい。

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