「感慨深いものがある」。第三次オンラインの開発要員として入行したという栃木県・足利銀行の砂田浩昭IT統括部部長は、しみじみと語る。足利銀は「Chance地銀共同化システム」に合流する方針を固めた。現在はNTTデータが運営する「地銀共同センター」を利用しているが、2020年1月に移る。

 きっかけは2016年10月。茨城県の常陽銀行との経営統合にある。2行でめぶきフィナンシャルグループを発足させたのを機に、常陽銀が参画するChanceに一本化する。

 Chanceは三菱東京UFJ銀行のシステムをベースとした共同利用型のシステム。日本IBMが開発と運用を担う。足利銀の砂田部長が「感慨深い」と表現したのは、足利銀がNTTデータの地銀共同センターに参加する前に使っていた自前の第三次オンラインも、旧三菱銀行の勘定系を基にしていたからだ。

 2000年代前半にChanceの構想がスタートした際は足利銀も参加の意向を示していた。ところが一時国有化により断念。自前の勘定系を手放し、2011年にNTTデータの地銀共同センターの利用を始めた経緯がある。

年20億円の削減を見込む

 足利銀はなぜ、一度は諦めたChanceに復帰を決めたのか。統合相手の常陽銀がChanceを導入していた点と、常陽銀の方が経営規模が大きかったことが一因ではあるが、ほかにも理由がある。料金体系の違いだ。

 地銀共同センターを運営するNTTデータは預金や振り込みなどのトランザクション件数に応じた従量制の料金体系を導入している。一方のChanceは定額制だ。「携帯電話の料金と同じで、取引量が少ないと従量制の方が安い。ただし大手行にとっては、必ずしも最適な選択肢ではない」(砂田部長)。実際、2行そろって地銀共同センターに加入するケースと比べたところ、コスト面ではChanceに軍配が上がった。

 2行合わせて300に上るサブシステムの統合にも手を付ける。Chanceと接続するサブシステムについては常陽銀の既存システムに合わせる。開発と移行に投じる金額は約110億円。年間約20億円の削減効果が期待できるといい、5年半で回収できる算段だ。

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