前回、課題の切り口が目的に沿ったものでないと、そこからは有効な情報が得られないと伝えた。それを踏まえたうえで「売上額の減少」という課題分解の続きをしていこう。

 「もし営業担当者がどこかで道草を食ってさぼっていれば、その分だけ売り上げは落ちるだろう」という想定(仮説)のもと、「顧客訪問数/日」という切り口から、仮説を検証できると考えてみた。

1日当たりの「顧客訪問数」から、売上額の減少に至った問題を考える
(出所:データ&ストーリー)
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 ただ、顧客訪問数だけでは「売上額」の一部しか説明できない。なぜなら、売り上げは顧客訪問数だけで決まるわけではないからだ。

 そこで次の仮説も考えてみよう・・・と言いだすのは簡単だが、実際にはここで唸ってしまう人が続出する。アイデア(切り口)が次から次へとわいて出てくるわけではなく、すぐに行き詰まってしまう。

 そこで次のアイデアを出すテクニックの一つとして、最初に出した案(ここでは「顧客訪問数が減っている」)をあえて「否定」してみる。

自分が出した最初の切り口を否定してみる

 つまり、「顧客訪問数はこれまでと変わっていない。にもかかわらず、売り上げが落ちているとすれば、どのような原因が考えられるか」。

 顧客には会えているものの、売り上げが落ちているとすれば、例えば「対面での営業力が低下している」のかもしれない。では、営業力が低下しているかどうかは、どのような「指標」でなら確認できるだろうか。

 営業力が高ければ、対面した顧客に対して成約する数が多いはずだ。つまり、「成約率」をみれば分かるということになる。

 また、「顧客訪問数/日」と「成約率」は掛け算の関係にあると、論理的(数学的)にいえそうだ。

「顧客訪問数/日」と「成約率」は掛け算の関係にある
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 それ以外は・・・となれば、次のアプローチもこれまでと同じだ。「顧客にも会えて、成約率も変わらない」とすれば、ほかに売り上げが落ちる原因は何かを考えてみればよい。

 例えば、「成約件数」という販売ノルマのプレッシャーから、営業担当者が値引き攻勢をかけまくって売りさばいていたら、どうだろうか。「販売単価」は間違いなく下がるので、成約件数はノルマに達していても売上額は下がってしまう。この販売単価も、ツリーに加えてみよう。

「販売単価」も加えてみる
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 すると「顧客訪問数/日」「成約率」「販売単価」は全てが掛け算の関係にあり、三つを掛け合わせると「売上額」になることが分かる。構造を2段構えにして、この関係を再整理すると、次のようになる。

指標を分解できると、問題の在りかが見えてくる
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 このように「指標分解」ができると、あとはそれぞれの指標を担当エリアごと、営業担当者ごと、製品ごとなどで比較してみることで、問題の在りかが具体的に見えてくる。

 比較作業自体は「平均や合計を比べる」「推移をグラフで可視化して確認する」など、特に難しい話ではない。むしろ本質はここまで見てきた通り、「何を見れば、自分が欲しい答えが得られるか」である。

 言い換えれば、「問いに対する答えを自ら創り出す」のだ。私はこの連載の初回で「正解がどこかに存在するわけではない」と強調した。そのため、あえて「答えを見つける」とは言わないようにしている。創り出すのだ。

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