2017年6月上旬に米カリフォルニア州サンノゼで開催されたAppleの開発者会議「WWDC17」では、同社のモバイル決済サービス「Apple Pay」の新機能「個人間(P2P)送金」が発表されるなど、いくつかのアップデートがあった。

 また基調講演では紹介されなかったものの、これまで一部例外を除いて外部公開されることのなかったiPhoneの「NFC(Near Field Communication)」機能が一部公開され、NFC Forumが標準として定めるNFCタグのType-1〜5がサポートされることとなった。NFC対応をうたいながら標準とはやや異なる形の実装にとどまっていたAppleが“歩み寄り”のスタンスを見せたことに喜びの声を上げる関係者も少なくなかったはずだ。

 本稿では3回シリーズとして、Apple Payの現状をまとめていく。初回はApple Payの利用拡大について見ていきたい。

街中でApple Payのロゴを見かける機会も増えてきた。写真は台北市内のドラッグストアでの決済端末の画面(筆者撮影)
[画像のクリックで拡大表示]

「モバイル決済シェアで業界No.1」の実態は?

 Apple Payに関して関係各所を取材していると、同サービスの登場前後で業界地図が大きく変化しており、そのインパクトは非常に大きいという話は必ずといっていいほど聞こえてくる。

 例えば日本ではJCBがApple Payの登場後にカード発行枚数とトランザクション数で「従来のカード業界では例を見ない増加」を達成しているなど、国内ローンチから半年程度で無視できないレベルの影響が見えている。

 実際、Android Payを擁するGoogleや、国内ローンチパートナーの1社であるMasterCard、さらにおサイフケータイ陣営なども交えてApple Pay路線を追随する動きを見せており、その影響力は計り知れない。Apple自身も自らを「モバイル端末を使った非接触(NFC)決済で業界ナンバーワン」と称することをはばからず、この分野におけるトレンドリーダー的立場に立っている。

WWDC17で講演した米Appleソフトウエアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのCraig Federighi氏はApple Payを業界ナンバーワンのモバイル決済サービスというが……
出所:Apple
[画像のクリックで拡大表示]

 一方で、Apple Payに関する具体的な統計データはいまだ出されておらず、Apple自身も意図的に明言を避けているとみられる。関係パートナー各社もApple Payの利用状況がわかる具体的な数字の拠出については箝口令が敷かれているようだ。2017年5月2日には、Appleの2017年度第2四半期(2017年1〜3月期)決算会見において、ごく一部の最新データが紹介された。このように、断片的に出てくる周辺情報からある程度推測するしかないのが現状だ。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら