読者のみなさんは「FAMGA」という言葉を聞いたことがあるだろうか。フェイスブック、アップル、マイクロソフト(MS)、グーグル、アマゾン・ドット・コムの米IT企業5社の頭文字を取ったもので、この5社が持つ株式市場への影響が極めて大きいために付けられた略語である。

 株式時価総額が5社の中で最も小さいアマゾンでも約4500億ドル(51兆円、2017年9月26日時点)であり、日本企業で時価総額一位であるトヨタ自動車の22兆円(同)の約2.3倍に上る。

 実は現在のVR(仮想現実)市場でFAMGAよりも大きな影響力と高い将来性を持つと筆者が考える企業がある。米バルブだ。1996年創業のベンチャー企業である。

 筆者がバルブに注目する理由は同社が一介のVRゲーム会社という枠を超えて、VRに関するヒト・モノ・カネを結びつける基盤的な存在、いわゆるプラットフォームを虎視眈々と狙っているように見えるからだ。同社は現在、PC向けのゲーム配信サービスで業界最大手の地位にある。

 同サービスの実績を基に携帯電話の世界大手と組んでVRゲーム市場に参入。VRのソフトやハードを普及させるために自社の技術を開放するなど、他のVR企業にない策を次々と打ち出している。前回に紹介したMSとも8月末に提携を発表し、VRコンテンツの配信企業として業界トップの地位を固めつつある。

異質な企業、バルブが公開した同社の組織図
(出所:米バルブ)
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 しかし同社の素性は、米国ではもちろん日本ではほとんど知られていない。非上場企業のため従業員などの企業規模や業績を公開する義務を負っていないことに加えて、独特な同社の企業文化にも要因があるかもしれない。

 バルブは組織に階層がなく、フラットな構造を採用しているという。通常の企業では考えにくいが、2012年4月に公開した従業員向けハンドブックによれば社内にはマネジャーがいない。創業者でCEO(最高経営責任者)のゲイブ・ニューエル(Gabe Newell)氏以外は全て対等な立場なのだという。

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