約20年間データマイニングを研究し、データの収集・分析によってビジネス機会を見つけ出す概念「チャンス発見学」を考案した東京大学工学部の大澤幸生教授。「日経ITイノベーターズ」が2016年1月25日に開催した定例会議で、「データ活用の本質」について講演した。「可能なところから実践する」ことの大切さを説く。

 日経ITイノベーターズのアドバイザリーボードでもある東京大学工学部教授の大澤幸生氏は、データ活用の第一人者でありながら「ビッグデータやデータサイエンティストという言葉は嫌い」と言う。講演タイトルは「データ活用の本質~ビッグデータブームに踊らされないために~」である。

 大澤氏の研究テーマは、「データを活用してイノベーションを起こす」こと。そのための重要なツールの一つが、データのつながりを可視化する「キーグラフ」だ。繊維業界のある会社でキーグラフを活用した事例では、「きれいめの生地」「着古し系生地」など売れ筋衣料品の生地に関する関係性を可視化し、新商品開発力の強化に役立てた。

 データをただ眺めているだけでは何も起きない。「データは過去のものでしかなく、そこから未来に向けて何をすべきかは自分で考えないといけません」(大澤氏)。

東京大学工学部の大澤幸生教授
写真:井上 裕康
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 大澤氏が提唱し、今注目を浴びている取り組みが「Innovators Marketplace on Data Jackets (IMDJ)」である。IMDJは、「既存の知識・情報の組合わせ発想を誘発し、新たなビジネスアイデア創出を促進させるゲーム型手法」である。IMDJは、経済産業省の「データ駆動(ドリブン)イノベーション協議会」において、データ利活用で新ビジネスを創出する手法として採用されている。

 「オープンデータの活用が叫ばれているものの、自社のデータを公開する動きはなかなか進みません。IMDJは、組織や分野を超えてデータを共有するための取り組み」と大澤氏は説明する。

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