トレーニングや資格取得の支援、社内公募制度などでスキルアップの支援をしています。ただ最近、若手から施策への不満の声が漏れてきます。本人たちと話をしてみると、私の世代とは考え方が根本的に違うと感じます。今後、若手育成の施策をどう考えていくべきでしょうか。

(中堅SIベンダー/教育担当)

 価値観の変化で、トレーニングや資格制度といった内向きの施策ではモチベーションが刺激されなくなっているのが原因でしょう。若手には「会社は複数ある所属コミュニティの1つ」という考え方が広がりつつあります。

 若手のモチベーションを高め、スキルアップを促進させるには、以下の施策を段階的に実施するのが効果的です。(1)外部に小さく情報発信する機会を作る、(2)発信された情報に対して感謝を伝える、(3)発信者と読者が直接接する場を設ける――。

 「スキルアップなのに発信?」と疑問に思うかもしれませんが、人は他人に伝えようとするときに最も学ぶものです。社内の事例発表会で発表者に指名されたとき、それまで明確だと思っていたことが急に不安になり、改めて深いところまで調べ直した経験はないでしょうか。自分の考えを言語化して他人に伝えようとして始めて、自分の知識や考えの曖昧さに気付くのです。

 最初の施策は発表の場の用意です。大げさな発表会ではなく、小さく高頻度にできるだけ多くの人が発表できる場が望ましいでしょう。実施しやすい例は、発表時間を5分間に制限したプレゼンテーション「社内LT(ライトニングトーク)」やブログです。成果(スライドやブログ)はできるだけ社外にオープンに公開してください。それが次の施策につながります。

 2番目の施策は、発信された情報に対して感謝を伝えることです。プレゼンテーションならば、拍手して声を掛けます。もう1つ重要なのが社外からの感謝の声です。社内LT資料をスライド共有サービス(SlideShareなど)で公開したり、ブログにSNSの「いいね」や共有ボタンを付けたりすると、社外の人からも反応が返ってきます。見知らぬ人からの感謝は本当にうれしいものです。そのうれしい気持ちがモチベーションになり、自律的なスキルアップの原動力になります。

全員がリスペクトされる環境に

 3番目の施策では、情報の発信者と読者が接して、外部とつながりを持てる機会を設けます。これにより会社という隔絶された環境を越えて、社会の一員としての一体感や安心を持てるようになります。結果として、エンジニアの定着率向上にも役立つはずです。

 外部とのつながりの作り方は2種類あります。1つめは社内活動を外部に広げること。2つめは外部のコミュニティの中に社内活動を持ち込むことです。どちらかだけでなく、併用できるのが理想です。

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