藤原 覚氏
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ アソシエイト ディレクター

 「お前らが全部悪いんだ」。流通業のある基幹システムの刷新で火が噴いた。10億円超のプロジェクトはリリース直前のユーザーテストで、必要な機能が足りないと頓挫。火消しに入ったケンブリッジ・テクノロジー・パートーナーズの藤原 覚氏(アソシエイトディレクター)に、まずユーザー側のプロジェクトマネジャー(ユーザーPM)はこう怒りをぶちまけた。

 完全に「ユーザー VS ベンダー」の様相だ。藤原氏が課題管理表をチェックすると、未解決の案件は200を超えた。2014年4月のリリースまであと2カ月。火消しの達人と呼ばれた藤原氏でも、さすがに動揺を隠せなかった。

追加の「現場リーダー」を要請

 ユーザーは四つの基幹システムの刷新を4社のベンダーに発注。ケンブリッジが全体をマネジメントする体制だった。ステークホルダーが多く、コミュニケーションパスも複雑だ。さらにスコープもはっきりしない。「メンバーが浮足立っている」。藤原氏はかつて裁判になったトラブルプロジェクトと同じ空気を感じた。

 急ぐは目の前の改修だが、その前に信頼関係を確保しなければならない。「ユーザー VS ベンダー」から「課題 VS 我々」への転換を急いだ。

 問題は怒り心頭のユーザーPMをどうするか。一方的に攻めるわけにもいかない。全体マネジメントの役割は藤原氏側にある。ユーザーPMの交代を訴えれば、なおさら「ユーザー VS ベンダー」の構図が色濃くなる。

 そこで藤原氏は、プロジェクトオーナーのもとを訪れ「現場目線のリーダーの方をプロジェクトにアサインしてもらえないか」と持ち掛けた。スコープの曖昧さもあり、この要求は意外にもすんなり受け入れられた。

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