16年間に及ぶ専業主婦生活を経て、IT企業の正社員に――。グループウエアなどを手掛けるサイボウズで広報を務める江原なおみ氏は、そんな異色の経歴の持ち主だ。「長期のブランクがあって、もう一度働けるのだろうか」という不安を乗り越えて企業の門を叩くきっかけになったのは、1カ月間のインターンシッププログラムだった。

(聞き手は戸川 尚樹=ITpro編集長、編集は八木 玲子=ITpro)

これまでの経歴を教えて下さい。

 大学卒業後、ソニーに入社して7年間働きました。私自身が帰国子女だったこともあって、主に海外業務を担当していました。その間、夫が海外転勤になり、私は仕事を辞めてイギリスへ。現地では長男を出産し、専業主婦として過ごしていました。

撮影:新関 雅士、以下同じ
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 およそ2年で日本に帰ってきましたが、再就職はせず育児に専念してきました。次男を生んだのは、帰国後です。結局16年間専業主婦を続けていたのですが、2016年9月にサイボウズに入社しました。

16年間のブランクを経てもう一度働こうと思ったのは、なぜですか。

 元々仕事は好きでしたし、ソニーを辞めたときにも、日本に戻ったらもう一度仕事をしようかなと思っていました。ところが、子育ては本当に大変で、復職しませんでした。パートタイムで働くといったことも一切せず、専業主婦としてやってきました。

 とはいえ、子育てが本当に忙しいのは、子供が小学校に入る頃まで。子供が小学校に入ると、私が自分で何か行動を起こさなければ、社会とかかわる機会が減っていくんですね。幼稚園では送迎のときなどにほかの保護者や先生たちと会話しますが、小学校になるとそれが無くなります。「今日は丸一日、大人と一言も会話をしなかった」なんてことも珍しくなくなります。これではつまらない、私は社会とかけ離れてるんじゃないか。そんな気持ちが芽生えてきました。

 それに、子供はどんどん親の手を離れていきます。子育て中心の生活が終わったあと、私は一体何をしたらいいのか。子供たちが大人になって自立したときに、母親である私も自分の世界をきちんと持って自立して生きていたい、という気持ちがありました。

 そう思うようになった一つのきっかけが、子供からもらうお誕生日カードです。書かれているメッセージはたいてい、「ママ、いつもおいしいご飯をありがとう」なんです。もちろんうれしいのですが、あるとき「あれっ」と思ったんですね。私はお料理が特別好きなわけではないし、ほかにも出来ることがあるのに、と。

 こうしたことがあって、次男が小学校に入学した4~5年前頃から、漠然と再就職を考え始めました。ちょうど長男が中学受験を控えていてすぐには本格的に動き出せなかったのですが、ネットで情報収集を始めました。

 もちろん、不安はありました。16年もブランクがありますから、いきなりフルタイムで復帰する自信など持てません。そもそも、「毎日決まった時間に、満員電車に揺られてオフィスに通えるのか」というところから不安でした。昔は毎日当たり前にやっていたことなんですけどね。できれば時短で、さらに週3日くらいから働ける場所はないか、と考えていました。

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