「ドイツは金融市場が成熟した国だ。小規模な銀行としてスタートしたFidor銀行がいかにして地位を確立できたのか。通常の銀行ではなく『デジタルバンク』に活路を見出したからだ」――。

 2017年2月28日、東京・神田で開催された「Nikkei FinTech Conference 2017」の基調講演に、API公開を積極的に進めているドイツFidor銀行、Fidor AG会長でFidor Solutions Managing DirectorのGe Drossaert氏が登壇。同行のこれまでの取り組みや、プラットフォームやライセンスの提供により顧客企業が「銀行を作れる」サービスの展望について語った。

ドイツFidor銀行、Fidor AG会長でFidor Solutions Managing DirectorのGe Drossaert氏
(撮影:加藤 康、以下同じ)
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 「Customer centric&Technology powered Digital Banking」。Ge Drossaert氏は、Fidor銀行のミッションステートメントをこのように示す。

 Fidor銀行の創業は2007年。Drossaert氏によれば、「当初は市場に銀行が多すぎることから、ドイツ中央銀行から設立認可が下りなかった」という。それが一転して認可された理由は、イノベ―ティブで競争力あるFinTech銀行であることが認められたからだという。Drossaert氏は「我々は『世界で一番古いFinTechの銀行』と呼ばれることがある」と語る。

 Drossaert氏が、Fidor銀行にとっては飛躍のためのターニングポイントとなったとするのは、2007年の創業後、リーマンショックに端を発した世界的な金融危機だ。「欧州では2009年から2010年にかけて金融危機が起き、多くの銀行が顧客からの信用を失った。既存の銀行ではなく、真に顧客にフォーカスした銀行が求められた」。FinTech銀行として顧客を獲得するための「完璧なタイミングだった」(Drossaert氏)という。

独自にFinTechサービスを開発

 Fidor銀行が収益力を高め、事業基盤を強固していくと、Fidor銀行のFinTech技術を活用したいという企業が増えてきた。そこで、テクノロジー部門を銀行から切り離し、別会社とした。2015年には、150万ユーロの資金で英国にFidor Bank UKを開業。2016年には、O2O(Online to Offline)に対応したバンキングサービスを開始した。

 「この頃にフランスで2番目に大きい銀行が我々のビジネスモデルに関心を示し、その資本を受け入れて盤石なFinTech銀行となった」(Drossaert氏)と歴史を説明した。

 Drossaert氏によれば、Fidor銀行のビジネスの進め方は、「銀行を活用しながら、まずは新しいアイデアを試して、『早い段階で失敗する』というアプローチだ」という。具体的には、Fidor銀行が新しいソリューションを早い段階で試し、Fidor SlutinosがFidor銀行のプラットフォームを使う世界中のパートナー企業に提供していくというものだ。

 重要なのは、プラットフォームである。Fidor銀行のさまざまなサービス、アプリケーションは「Fidor OS(fos)」と呼ばれるオペレーティングシステムの上で動く。デジタル銀行を作るために不可欠なプラットフォームだ。Drossaert氏「我々はFinTech銀行としての根幹をなすプラットフォームをゼロから自分たちで開発した。API公開を進め、我々は世界中のパートナーに提供できる」と自社の強みを強調した。

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