スマホには躊躇していた携帯電話事業者とメーカー

 iPhoneが登場しても日本のメーカーはしばらくの間は様子見だった。2008年にGoogleからAndroid OSが登場し、2009年7月にはドコモから台湾HTCの「HTC Magic(HT-03A)」が販売された。だがこのスマホは当時、ドコモユーザーなら誰もが利用していたiモードに対応していなかったことから、ほとんど売れなかった。

 当時はLINEのようなチャットアプリもなく、携帯電話でのコミュニケーションの手段は携帯電話事業者が提供しているメールだった。例えばドコモなら「@docomo.ne.jp」に代表されるiモードのメールである。そのメールが利用できない端末は一般ユーザーにとってほとんど魅力のないものだった。また「Androidマーケット(現Google Play)から様々なアプリがダウンロードできる」といったアプリストアの使い方は現在では誰でも分かることだが、当時の一般ユーザーには何のことか全く理解できなかった。

 また、おサイフケータイや携帯電話事業者が提供するメールなど日本独自のサービスや機能をサポートしていないことから、携帯電話事業者もスマホの本格的な導入には躊躇していた。だがiPhoneは、ソフトバンクしか扱っていなかったにもかかわらず、若者を中心に大人気で、ドコモもKDDIも無視できなくなった。世界規模でのスマホの普及にも後押しされて、携帯電話事業者はスマホ導入に重い腰を上げ始め、従来から取引のあった国内メーカーに開発を呼び掛けた。

無視できなくなったスマホ対応と度重なる苦戦

 世界でも最先端の携帯電話を開発していた日本のメーカーでも、スマホの開発には当初相当苦戦を強いられた。国内メーカーにとってスマホでのつまずきが、市場からの撤退を余儀なくされた主因と言っても過言ではない。iPhoneが登場し、スマホが主流になってから日本のメーカーが停滞していった理由は以下の3点であろう。

●スマホでの差別化の難しさ
●スマホの品質
●携帯電話事業者の販売方法

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