2月27日から3月2日にかけてスペイン・バルセロナで開催されたモバイル業界で最大のイベントである「Mobile World Congress 2017」(MWC2017)。スマホからIoT(Internet of Things)へ主役の移り変わりが鮮明となり、第5世代移動通信システム(5G)の商用化へ向けてアクセルを踏む動きが目立ってきた(写真1写真2)。

写真1●「5G FIRST」と呼ぶエンドツーエンドのソリューションを発表するフィンランド・ノキアのラジーブ・スリCEO
先行して5Gを導入する米ベライゾンや韓国KTの仕様に沿ったもので、2017年後半に提供開始する。
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写真2●MWC2017の基調講演で2019年の5G商用化を宣言する韓国KTの黄昌圭(ファン・チャンギュ)CEO
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 そんな今年のMWCにおける最も重要な動きは米AT&T、NTTドコモ、韓国SK Telecom、英ボーダフォン、スウェーデン・エリクソン、米クアルコム、英BT、豪テルストラ、韓国KT、米インテル、韓国LG Uplus、KDDI、韓国LGエレクトロニクス、スウェーデン・テリアカンパニー、スイスコム、伊TIM、エジプト・エティサラート、中国ファーウェイ、米スプリント、中国Vivo、中国ZTEという、世界有力の通信事業者、ベンダー22社が2月27日に連名で発表した、5Gの早期仕様策定に関する共同提案に合意したというアナウンスだ。2019年の大規模展開、および商用化が可能になるように、携帯電話の標準化団体である「3GPP」に共同提案するという。

 NTTドコモの尾上誠蔵取締役常務執行役員 R&Dイノベーション本部長は「ドコモとして2020年の商用化を確実にするために、実は1年前から提案していた。ようやく賛同者が多くなり、今回の発表となった。5G商用化の前倒しが可能かといえば可能。後は安定性や展開規模などから、商用レベルかどうかの判断だけになってくる」と打ち明ける(写真3)。

写真3●NTTドコモの尾上誠蔵取締役常務執行役員 R&Dイノベーション本部長
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 クアルコムも上記のアナウンスに合わせて、2019年の5Gの商用展開に間に合うように、2G/3G/4G/5Gに対応したマルチモードのモデムチップ「Snapdragon X50」を出荷することを発表した(写真4)。つまり2019年段階で5Gに対応したモデムチップを搭載したスマートフォンの出荷も見えてきたことになる。

写真4●米クアルコムがMWC2017の会場内で展示した5G NR(New Radio)対応のプロトタイプ端末
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 数年前までは業界内では「5Gの2020年商用化は難しいのでは」という声が大半だった。それが一転、ここに来て、通信業界が一丸となって5G商用化に向けて加速し始めた。

前倒しを働きかけたドコモ

 5Gの新たな無線方式は「5G NR(New Radio)」と呼ばれ、3GPPで2015年末から本格的な標準仕様策定に向けた作業が始まっている。

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