情報システムを全てクラウドに載せているとはいえ、トラブルなく円滑に動かし、かつ便利な新サービスを創出するにはITの専門知識を持つ人材が不可欠だ。格安航空会社(LCC)であるPeach Aviation(ピーチ・アビエーション、以下ピーチ)はIT人材が社内で活躍し、情報システムの費用対効果を高められるよう、独自の工夫を凝らしている。

 まずはIT人材の配置だ。同社の組織のうち、一般的な企業のIT部門と最も近いのが前野部長率いる「イノベーション統括部」。育児休業中の1人を含め、11人の社員が所属する。ただ、同社のITプロフェッショナルは同部の社員だけではない。運航や空港、営業、人事など現場の各部署に1人以上、ITを専門に担える人材を配置している。

社内の各部署にITの専門家を配置
図 ピーチの情報化推進体制
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 現場の各部門に所属する約10人のIT要員は、個々の現場でITを活用した業務改善や新サービスなどのニーズをくみ取ってシステムとして形にする役割を担う。例えば社内の業務システムであれば、どのような機能や使い勝手が求められているか、投資できるコストはどの程度か、といった議論を現場の社員と重ね、RFPの作成も各部門が主導する。新たなクラウドサービスの導入時は現場の社員へのレクチャーなども引き受ける。

 ピーチは新規のクラウドサービスを導入する際、そのサービスの「システムオーナー」となる部門はどこかを必ず決めている。理由は2つある。1つは個々のシステムを必要とする部門内でどのクラウドサービスが最適かを徹底的に議論し、現場の社員たちが自ら納得して活用できるクラウドサービスを選ぶためだ。

 もう1つはシステムオーナーとなった部門に責任を持ってコスト管理に取り組んでもらい、費用対効果の高い状態を維持し続けるためだ。「クラウドサービスを情報システム部門が管理する体制にすると、現場は『こういうのを用意して』とリクエストするだけになりコスト感覚が麻痺してしまう。現場の各部門が責任を持って導入から運用まで担う」(イノベーション統括部の坂本崇システムストラテジスト)。

 各部門のIT要員は所属部門の業務にも精通している必要がある。そこで同社は、例えば整備とIT、空港とITなど、現場業務とITの両方に明るい人材を中途採用している。「そういう人材がほしいと思い続けていれば徐々に集まってくるもの。現在は大半の部門に現場業務とITの両方が分かる社員を配属できている」(前野部長)。

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