2018年に1人、また1人と中間管理職が現場からいなくなり、5年後には1人もいなくなる――。人工知能(AI)の普及でそんな未来が現実味を帯びている。

 調査会社のIDC Japanによれば、国内のユーザー企業が自然言語解析や機械学習といったAI技術に支出する金額は年73.6%のペースで増え、2021年には2016年比約16倍の2501億円に達する見通しだ。2016年まではPoC(概念実証)が多かったが、2017年以降は実ビジネスへの適用が増え、国内市場が急成長。AIを使うシステムを内製する人件費まで含めれば企業の支出額はさらに数倍の規模になりそうだ。

 産業別では流通と金融、製造の3業種で2021年の支出額の65%を占める予測だ。既に流通ではマーケティングの自動化や価格の自動決定、金融では詐欺検出や信用スコアリング、製造では品質管理などでAI技術の導入が進んでいるが、適用範囲がさらに広がる。

図 国内ユーザー企業の人工知能(AI)技術市場規模
金融と製造、流通の3業種が6割強を占める(出所:IDC Japan)
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 様々な業種に共通する業務では社内ヘルプデスクのチャットボットや社内メール分析にAIが普及する。業種特化型では医療の自動診断、通信サービスの解約予測、弁護士の証拠書類分析などでAIが活躍する。

業務アプリにAIが組み込まれる

 「業務アプリケーションのバックエンドにAI技術が埋め込まれる動きが加速する」。今後5年のAI技術についてIDC Japanの眞鍋敬グループディレクターはこう展望する。チャットボットなど目に見える形でのAI導入が進む一方、日常的に使う業務アプリケーションの裏側にもAI技術が浸透する。

 当初は帳票の分類やテキスト化など単純作業の置き換えから始まり、徐々にベテラン社員の知見を学習する方向に発展する。だが、業務アプリケーションに組み込まれるAI技術の役割はそれだけにとどまらない。いずれ中間管理職が担っていた管理業務をAIが置き換えるようになる。

 販売管理システムであれば、営業担当者の日報をAIが読み解き、次の訪問先についてアドバイスする。人事管理システムなら、プロジェクトの特性に応じて最適なチームメンバーをAIが選び出したり、メールのテキスト分析から社員のストレスや退職の兆候をAIが割り出したりする。会計システムであれば、社員の経費の使い道を分析し、不正の兆候を割り出す。

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