無線LANの規格はIEEE-SAが策定し、最大伝送速度が6.9Gビット/秒のIEEE 802.11acが現在最速の規格である。2018年にリリースが見込まれる次の規格IEEE 802.11axでは、最大伝送速度よりもスループット(実効速度)の向上を目指している

●無線LAN規格と速度
※11axの項目については最新版のドラフト(D1.0)、11ayの項目については最新版の技術資料(Specification Framework)を基に作成(点線部分)。今後変更される可能性がある
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 無線LANの課題は、混雑した環境でのスループット低下である。無線LANのスループットは最大伝送速度の6~7割程度しか出ない。混雑した環境ではさらに低下する。11axの最大伝送速度は9.6Gビット/秒と11acの1.5倍ほどだが、スループットは4倍以上になる。スループットの向上に大きく寄与するのが、「ユーザー多重技術」である。OFDMA技術およびマルチユーザーMIMO技術を使い、基地局から複数端末への「1対多」あるいは複数端末から基地局への「多対1」通信を同時に行う。

 さらなる速度向上を期待されるのが、広い帯域を確保できるミリ波帯(60GHz帯)の無線LAN規格だ。11acや11axで使う2.4GHz帯や5GHz帯などマイクロ波帯の周波数は、もう空きがなく高速化が難しいからだ。

▼IEEE-SA
Institute of Electrical and Electronic Engineers-Standards Associationの略。米国電気電子学会。各種標準規格を策定している。
▼IEEE 802.11ac
無線LANの規格には「802.11」が付く。イーサネットは「802.3」、Bluetoothは「802.15」のように規格ごとにピリオド以降の数値が変わる。
▼目指している
チャネル帯域幅や空間多重数といった高速化に関するパラメータは11acと同様となる見通し。変調多値数は、256QAMに対して1.25倍の伝送速度を実現する1024QAMがオプションとして導入される見通しだ。
▼OFDMA
Orthogonal Frequency Division Multiple Accessの略。下り通信では、基地局が送信する一つの無線フレームの内部を周波数ごとに細分化して、複数のユーザー宛の情報を同時伝送する。また上り通信では、端末ごとに割り当てられた細かな周波数帯域を利用して基地局に同時伝送する。
▼マルチユーザーMIMO
基地局と複数端末間で信号を同時伝送する技術。基地局から複数端末宛ての下り通信で、送信ビームフォーミングを利用して空間多重伝送を行う「下りリンクマルチユーザーMIMO」伝送は、11acで既に規定されている。11axでは、複数の端末が基地局宛てに同時伝送を行い、基地局が空間多重された信号を復元することで伝送効率を高める「上りリンクマルチユーザーMIMO」が新たに規定される見通し。

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