「本当に基幹系システムを乗せて問題ないのか」「障害が起こったらどう対処するのか」。こうしたパブリッククラウド利用の課題は、どう解決するのか。クラウドの導入に携わるITエンジニアへの取材から、移行・運用に関するポイントをまとめた。


 「パブリッククラウドに乗らないシステムはほとんどなくなってきている」。これがクラウドのシステム導入を手掛ける多くのITエンジニアに共通する見解だ。ただし「まだ乗らないシステム」や「乗せないほうがいいシステム」は存在する。その見極めが必要だ。

パブリッククラウドに乗せるシステムの目安
[画像のクリックで拡大表示]

 まずは乗らないシステムを見よう。現状、オンプレミス環境で稼働する基幹系システムがパブリッククラウドに乗らない理由は、技術的要因、法規制の要因、そしてソフトベンダーの対応遅れの三つが代表的だ。

 技術的な要因の代表例が「ミリ秒の応答速度が必要なシステム」(キヤノンITソリューションズの上島努デジタルトランスフォーメーションセンター クラウドインテグレーション事業推進室シニアITアーキテクト)だ。株式の売買システムやATM(現金預け払い機)、コネクティッドカーを管理するシステムなどが該当する。

 法規制の要因は「金融や製薬・医療関連のシステムで問題になることが多い」(アバナードの村上愼一クラウド統括ディレクター)。AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドベンダーは、金融機関のシステム管理の指針であるFISC(金融情報システムセンター)の「金融機関等コンピュータシステムの安全対策基準・解説書」や、医薬品や医療機器向けの指針「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン(CSV)」への対応リファレンスなどを用意し始めているが、懸念するユーザーがまだまだ多いようだ。

 こうした技術的あるいは法規制要因はユーザー自身で解決できない一方で、ベンダー側の対応は早い。状況は変わりやすいので、注視しておくことが大切だ。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)登録で6月末まで無料!