ある程度決まった範囲の業務を遂行するには、この階層化組織が最適であった。しかし、革新的なサービスを実現するには、スピードと柔軟性が必要となる。階層型の組織構造だと以下のようなデメリットが生じる。

階層化によるデメリット

(1)意思決定が迅速に行われない
 各システムの担当者にとって非常に重要な作業は、これから開発・改修するITの機能を定義することである。IT機能を決定するための業務要件をまず決めなければならない。通常、このITを利用する事業部門と話し合いながら、業務要件を決めて行くことになる。

 このときの最終決定責任者は事業部門ということになる。自分たちが使うものだからだ。IT部門側は、提案を出したり、アドバイスをしたりするが、「決める」ということに責任を負わない。

 システム担当者の年齢が若い場合や、人事異動・中途採用で後からチームに参加した場合には、当該システムを担当した経験が浅く、システム機能を深く理解できていない。業務要件を実現するためのIT機能を設計するにあたり、何に気をつければよいのか、どのような設計が適切なのかの当りが付かない。

 まずは周囲にある有識者に尋ねて回ることになる。それは自分の前任者である場合もあれば、これまで開発を担当してもらっていたITベンダーである場合もある。

 前任者の場合、往々にして対応が冷たくなる。異動当初は「何でも質問して」と言っていたものの、時間が経つにつれて「どうだったっけ?」と曖昧な回答が返される。「業務を引き継いだ。いつまで甘えているのだ。自分だって忙しい」と考えているかもしれない。

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