2009年9月、ディー・エヌ・エー(DeNA)がグリーに訴えられた。主な争点は、一見すると似ている画面表現の著作権侵害の有無。一審で損害賠償などを命じられたDeNAだが、二審で逆転勝訴した。二審での新証拠に、著作権侵害を避けるポイントが隠されている。

 IT企業に関連する裁判例などから、企業法務における留意点を指摘する連載の第2回である。今回は、携帯電話向けの釣りゲームをめぐる「グリー vs ディー・エヌ・エー(DeNA)」事件の東京地方裁判所と知的財産高等裁判所の判決を見ていく。ゲームに関する訴訟だが、多くの企業にとって決して人ごとではない。

 この事件は、グリーが2009年9月に著作権侵害などを理由としてDeNAとその共同制作者であるゲーム製作会社を提訴したものだ。大手ソーシャルゲーム会社同士の訴訟だったことから、注目を集めた。一見すると似ている両者のゲーム画面について、表現上の創造性の有無が争点となった。

 「釣り☆スタ」を開発・配信するグリーが、DeNAの「釣りゲータウン2」を著作権侵害だと主張した本訴訟で問題となったのは、主に魚の引き寄せ画面だ()。一見すると、両者を「似ている」と感じる読者は多いだろう。この画面だけでは認識できない点も含めて、類似点を具体的に指摘すると、主に次の六つが挙げられる。

図●グリーの「釣り☆スタ」(左)とDeNAの「釣りゲータウン2」の魚の引き寄せ画面
創造性の有無が争点に
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(1)水中の様子のみを真横から水平方向の視点で描いている
(2)画面中心に画面の約半分を占める面積の三重の同心円を配置している
(3)背景は全体的に薄暗い青で、画面両端の水底に岩陰だけを描いている
(4)1匹の黒い魚影を描画し、釣り糸を表す黒い直線が口から上方に伸びる
(5)釣り針に掛かった魚影は頻繁に向きを変えながら画面全体を動き回るが、背景画面は静止したままで、ユーザーの視点も固定されている
(6)三重の同心円の一定の場所に魚影が位置したタイミングで決定キーを押すと、魚を引き寄せやすくなる

 東京地裁は特に(2)と(6)について、「グリーの個性が強く表れている」として著作権侵害を認め、配信の差し止めと約2億3000万円の損害賠償をDeNAに命じた。ところが、知財高裁は第一審の判決を取り消し、著作権侵害を否定する判決を言い渡した。

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