スマートフォンを用いてユーザー同士が歌や楽器のコラボを手軽に楽しめる「nana」。コアなファンに支えられ、開始から約2年半で累計600万曲が公開されるまで成長した。他に類を見ない、ユニークなアプリを開発するに至った背景とは。自身のプロフィルもユニークなnana music創業者兼CEO(最高経営責任者)の文原明臣氏が語った。

photo:陶山 勉

 まず、私のちょっと変わった経歴からお話します。その方が、なぜ私が起業したか分かってもらえるからです。

 昔から音楽が好きで、特にスティービー・ワンダーを敬愛していました。いつかジャズバーで歌えるようになりたいと思い、高等専門学校時代はストリートで歌っていました。しかし、卒業後、全く違う道に進むことにしました。F1を目指してモータースポーツの世界に飛び込んだのです。

 音楽とモータースポーツ、全く異なる分野ですが、私の中では共通項がありました。自分の肉体で表現することが好きで、肉体の限界を超えた能力を扱うレーシングドライバーにどこか同じ魅力を感じたのです。

 19歳から24歳までレーシングドライバーをしていましたが、結局プロにはなれませんでした。レーサーは今振り返れば、起業家と似ています。1回のレースを走るのに数十万円から100万円近くの費用がかかります。そのため、スポンサーを回ってお金を集めなければならない。ただ、集めるためには実績がいる。実に厳しい世界でした。

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