楽天が4G向け周波数帯の割り当てを申請し、携帯電話事業者として参入すると表明したことが話題となっている。通信事業の視点ではなく、EC(電子商取引)を主体としたネットサービスという楽天本来の事業視点から、楽天の携帯市場参入を考えてみたい。

話題となった突然の携帯電話事業参入

 EC大手の楽天は2017年12月14日、総務省が4G向けとして追加予定の1.7GHz帯と3.4GHz帯の割り当てを申請し、携帯電話市場に参入すると発表。年末のビッグニュースとして大きな話題となっている。

 楽天は以前より通信事業に積極的に取り組んでおり、固定通信事業として楽天コミュニケーションズを持つほか、MVNOとしてモバイル通信サービス「楽天モバイル」も展開。11月に買収したプラスワン・マーケティングの通信事業と合わせて140万契約を獲得するなど、個人向けのMVNOとしては最大手とも言える規模にまで成長させてきた実績がある。

楽天はMVNOとして「楽天モバイル」を展開しており、個人向けサービスとしては140万以上の契約数を獲得する最大手となっている。写真は2016年6月28日の「『楽天モバイル』2016夏 新サービス・新商品発表会」より(筆者撮影)
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 だが自らインフラを敷設して携帯電話事業を展開するとなると、MVNOとは全く異なる次元のハードルが待ち構えている。楽天は周波数割り当ての申請が承認された後の2019年にサービス開始を目指すとしており、サービス開始時点で約2000億円、2025年には約6000億円の資金を調達してインフラを構築するとしている。ただ、それだけの資金でゼロからインフラを構築し、携帯大手3社に対抗する環境を整備するのは相当困難だとの見方が多い。

 また今回申請して取得できる周波数帯は1.7GHz帯、もしくは3.4GHz帯のいずれかであり、大手3社と比べると獲得できる帯域が少ない。そのうえ、伝送距離が長くモバイル通信に向くとされる1GHz以下の周波数帯も持たないことから、エリア構築の面では圧倒的に不利と言わざるを得ない。そうしたことから、今回の楽天の参入を疑問視する声は決して少なくないようだ。

 なのであればなぜ、楽天は好調なMVNOによる通信事業を拡大するのではなく、自ら通信事業者に参入するという選択をする必要があったのだろうか。ここではあえて携帯電話事業者の視点ではなく、楽天の本業であるECを主体としたネットサービス事業者という視点から考える。

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