「あなたが書いている『SIerの寿命はあと数年』という話、以前は珍説と笑っていたが、今は確実やって来る未来だと深刻に受け止めている」「中期経営計画を立案中だが、いくら数字をこねくり回しても、今のSIビジネスでは明るい未来を描けない」。

 SIerの幹部に会うと、真顔でこんな話をされることが増えた。「SIerの寿命はあと数年」というのは、ユーザー企業のIT投資の力点が基幹系などバックヤードのシステムから、いわゆるデジタルビジネス関連に移るなかで、従来のSIerのビジネス領域が急速に縮小する、というものだ。変曲点は東京オリンピックの年、2020年ごろというのが私の見立てだ。

 ただ、超大型のシステム開発案件が重なったことなどもあり、今のところSIerをはじめITベンダー各社の足元の業績は絶好調だ。だからこそ、IT業界の人からすると「SIerの寿命はあと数年」は珍説だったわけだ。

 その風向きが最近、急速に変わった。予想以上に、ユーザー企業のIT投資がデジタルへシフトしつつあるのだ。特に、FinTechの脅威にさらされている金融機関や、IoT(インターネット・オブ・シングズ)導入の機運が高まる製造業で、その傾向が強い。

 SIerも敏感に感じている。「顧客の大規模な基幹系刷新はこれが最後」「クラウド活用やIT部門のコスト削減の影響で、請け負っている基幹系の保守運用の料金引き下げが進む」などの悲観論が高まっている。ある大手SIerの幹部は「このままでは、2020年代に売上規模が今の半分になってしまう」とまで述べる。

ユーザー企業の事業部門と共創へ

 ユーザー企業のIT投資は、デジタルの時代を迎え、増えることはあっても減りはしないだろう。SIerにとって問題なのは、新たなIT投資が、IT部門を通じてIT業界に染み出してはこないことだ。

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