「追加の要望を反映しないシステムは検収で合格させない」。全くもってひどい話である。客の強い立場を利用して、仕様凍結後も無理難題をふっかける。こんなことがまかり通るから、システム開発プロジェクトが大炎上するんだ。私はそんなふうに憤慨していたのだが、ITベンダーの関係者らに言わせると「追加要求を受け入れないなら検収しないと客から脅されるのはよくあること」らしい。

 何の話か、ITproの読者の皆さんには当然お分かりだと思う。システム開発プロジェクトの失敗を巡り、NTT東日本と客の旭川医科大学の双方が損害賠償を求めて争っていた訴訟の控訴審判決の件である。この裁判で旭川医大は全面敗訴。プロジェクト失敗の全責任は客側にあるとして、約14億1500万円の賠償を命じられた。これを報じたITproの記事を興味深く読んだが、率直に言って腰を抜かすぐらい驚いた。

 この訴訟はまだ最終確定ではないが、裁判の過程で明らかとなった事実関係を見ると寒々しいものがある。「仕様凍結後も追加の要望は止まらず、旭川医大はさらに171項目の開発を要望した」、「旭川医大の担当者から『追加の要望を反映しないシステムは検収で合格させない』と迫られた」。これは理不尽以外の何物でもない。で、「客の強い立場を利用して無理難題をふっかけるとは何事か」と憤慨していたわけだ。

 ところがである。複数のITベンダー関係者に今回の判決に対する感想を聞いてみたところ、冒頭のように「追加要求を受け入れないなら検収しないと客から脅されるのはよくあること」などといった指摘が返ってきたのだ。Twitterのフォロワーにも尋ねてみたが、複数の人から「実際に、検収しないと客から脅されたことがある」などの体験談を聞かせてもらった。

 私もこの「極言暴論」を長く書いているので、ユーザー企業のIT部門らの悪弊についてはよく知っている。例えば、「御社に発注するから」と言ってITベンダーに詳細な提案書を作らせ、それをコピペしてRFP(提案依頼書)を作成し、他のITベンダーに発注するなどの行為だ。だから考えてみれば、検収を武器にITベンダーに無理難題を飲ませるのは“普通のこと”なのかもしれない。それにしても、うーむ……。

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