国内外を問わず、多くの放送局、メディア企業が動画配信サービスに乗り出している。また、各動画配信サービスで提供される動画の画質向上に合わせてビットレートが高速化し、ユーザー数の規模も拡大している。こうした中で、改めて注目が集まっているのがCDNである。世界最大のCDN企業である米Akamai Technologiesでメディア部門(ビデオやソフトウエアのダウンロード)のMichael Fay氏(VP Media Product Management and Operations)に、CDNの動向と、同社の最新技術、CDNにかかるコストの考え方などを聞いた。

(聞き手は本誌編集長、田中正晴)

CDN事業の現状は。

米Akamai Technologies VP Media Product Management and Operations Michael Fay氏
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Fay CDNのナンバーワン企業として、コンテンツデリバリーの信頼性を高く評価してもらっている。米国のみならず世界中の放送局、動画配信事業者が扱うネット動画サービスに、AkamaiのCDNを利用してもらっている。動画配信サービスは、映像が高画質化しファイルサイズもどんどん大きくなっている。視聴者の数も急速に増えている。一方、視聴者は、モバイルあるいはSTB経由であろうが、OTTサービスといえども放送と同じようなサービス品質を期待する。こうしたニーズに答えるために、我々は新しい技術にチャレンジしている。

 当社は過去18年間、最大規模のCDNネットワークの開発を進めてきた。さらにメディア企業向けに、ライブ配信のワークフロー、あるいはファイルベース(VODやソフトウエアなど)のワークフロー、ストレージを提供してきた。最近の技術開発で力を入れているのが、クライアント側のSTBやパソコンに向けて、当社のソフトウエア技術を展開していくことである。

2017年に挑戦する新しいチャンレンジとは。

Fay 放送局は、地上波、衛星やケーブルテレビを介して番組を流している。Akamaiとしては、こうしたサービスのIP展開を一層促していきたい。

 まず第一にライブ配信のワークフローの革新である。我々は、UDPプロトコルを採用してMedia Services Liveの新機能「liveOrigin」をリリースした。メディア企業は、これにより高速で、かつゼロフェイリアー(zero failure)で、放送映像をCDNに送出できるようになった。

 もう一つの特徴は著しい低遅延化の実現である。例えば、サッカーの試合でゴールの瞬間、放送の視聴者はワッと沸く。しかし、OTT経由でモバイル視聴していると40秒ほど遅れることは一般的だった。これに対して、liveOrigin および、UDPプロトコルを採用したAkamaiのMedia Acceleration機能により、放送のように、ほぼ同じタイミングでゴールシーンに沸くことが可能になる。我々が用意するデモ環境では米国ケーブルテレビ放送よりも短い遅延を実現しているほどだ。

 Akamaiとしては、こうしたUDP技術の標準化を推進していくつもりだ。また、ゼロフェイリアーおよび、放送に近い低遅延での配信は、競合との差別化のポイントになっていると自負している。

 AkamaiはBOCC(Broadcast Operations Control Center)と呼ぶエンコーダからエンドユーザーまで、IPベースのエンド・エンドのオペレーションセンターを用意し、OTTサービスの品質を365日24時間モニタリングしていることも特徴だ。放送局は放送用のセンターがある。既存のセンターとBOCCが連携して機能することができる。APIを介して、放送局のセンターに情報を伝達することも可能だ。

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