行政による中古スマートフォンの流通活性化につながる新施策が相次いでいる。2017年6月以降に販売される新品スマホから、実質価格の基準を中古の下取り価格に連動させるという総務省の新指針(案)や、公正取引委員会が8月に示した中古端末の国内流通に関する法的な判断などだ。

 追い風を受けるはずの中古流通業者に今後の見通しを聞くと、「中古スマホ市場を大きく成長させていくには、我々自身が打破するべき課題が数多くある」と冷静に自己分析する意見が聞こえてくる。業界関係者が挙げる課題とは何か。

写真1●ゲオなど中古スマホの買い取り・販売に力を入れる事業者が増えてきたが、国内の中古携帯端末市場は年間200万〜300万台にとどまると言われている。
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 中古スマホ市場への追い風として最初に注目を集めたのが、公正取引委員会が携帯電話市場の競争条件に着目して8月に公表した報告書だ。この中では独占禁止法に抵触する恐れがある商取引を列挙しており、その例として「携帯電話事業者(MNO)が下取りした端末を国内で再流通させることを、端末メーカーが禁止すること」「MNOや端末メーカーが下取りした端末を第三者に販売するに当たり、国内市場での販売を制限すること」と明記した。

 これらの項目は、特に米アップルの「iPhone」の中古流通の動きを注視したと目されている。実際に携帯電話大手3社は販売店で大量のiPhoneを下取りしているが、他メーカーのスマホも含めて中古品として国内で流通していない。携帯電話大手3社は下取りした中古スマホを専門の協力会社などに売却。NTTドコモとソフトバンクの2社は、協力会社や関連企業が中古スマホを海外に転売していると明らかにしている。海外に売る理由は「協力会社の説明によると、海外のほうが高く売れる」(NTTドコモ)からだ。

 中古スマホの流通に携わる複数の関係者は「(NTTドコモの)指摘はほぼ実態通り。国内で中古スマホが流通しないのは、我々に海外勢と対抗できる購買力がないから」と打ち明ける。携帯電話大手3社から中古スマホを買い取った協力会社は、香港などで開かれる業者間の競売に商品を出品することが多いとされる。「参加条件を見る限り、われわれ日本の業者もこの競売に応札できる」(国内中古流通業者の経営者)。しかし買い取りの量や支払い方法など取引条件が厳しく、この競売案件に応札するのは難しいという。

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