NTT東西が電話局内の遊休スペースを活用したエッジコンピューティング事業を2018年度にも本格展開する。日経コンピュータの取材で明らかになった。局舎にサーバーを設置し、2社が展開する「フレッツ光」回線と組み合わせて提供することで、応答時間の短さと高可用性を訴求する。

社内LANと遜色ないレスポンス

 NTT西日本は格安航空会社(LCC)のPeach Aviation(ピーチ)、IT企業のJIG-SAWの2社と共同で、2017年6月から実証実験を展開している。関西空港内にあるピーチの事務所で撮影した7Kの高解像度映像を、フレッツ光回線経由で大阪府内の電話局に設置したサーバーに蓄積する取り組みだ。

画像解析など大容量データを扱う用途を狙う
NTT西日本が2018年度にも始めるエッジコンピューティング事業の仕組み
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 NTT西日本によると、この実証環境での遅延は数ミリ秒程度。「社内LANなどと遜色ないレベルのレスポンス」(同社)であることを確認し、エッジコンピューティングの拠点として事業展開する。エッジサーバーを設置する電話局は、各加入者の回線を直接引き込む収容局だけでなく、各エリアの収容局を束ねる中継局も活用する。その場合でもほぼ同程度の遅延速度で通信できるとする。

 同社はエッジサーバーの用途として、顔認証をはじめとする画像解析のサーバーを主に想定している。画像解析の際は解像度が高い映像をサーバーに伝送する必要がある。

 こうしたシステムをパブリッククラウドで構築するには、インターネットを経由する際の遅延の大きさがネックとなる。顔を撮影してから認証されるまでの待ち時間が長くなってしまうからだ。オンプレミスで構築すれば遅延は短いものの、ユーザー企業内にサーバーを設置し保守する必要があった。局内に設置した「LAN並み」の低遅延のエッジサーバーであれば、ユーザー企業は自社にサーバーを置くことなく画像解析システムを利用できる。

 NTT西日本はニーズを踏まえて用途別に提供することを検討しており「2018年度の実用化を目指している」。NTT東日本も具体的な内容は開示できないとしつつも「電話局内のスペースを活用したエッジコンピューティング事業を検討している」(広報)。NTT西日本からさほど遅れない時期に展開するとみられる。

 2017年9月末時点のアナログ電話の契約回線数はNTT東西合計で1817万件。この10年で6割近く減少した。東京都内や大阪市内の一等地にありながら、活用されず眠ったままになっていた電話局のスペースが、高速回線や万全の災害対策を施した「エッジ局」として再び優良資産に蘇る可能性が出てきた。