政府は2017年11月29日、改正割賦販売法(割販法)の施行日を2018年6月1日にすると閣議決定した。同法はクレジットカード取引のセキュリティ対策強化を求めており、加盟店にカード決済端末のIC対応などを義務付ける。ただし、大手チェーンを中心に対応の遅れが目立つ。施行日に間に合わない企業が続出しそうだ。

2020年3月末がタイムリミットに
クレジットカード決済のセキュリティに関わる規制の流れ
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 クレジットカードには磁気ストライプのほか、金属端子・ICチップが付いている。日本の店舗ではカードをスライドさせて磁気ストライプを読み取る方式の決済が主流。不正読み取り(スキミング)や偽造カードの作成が容易で、不正使用が問題になってきた。

 カードを端末に差し込んで使うIC決済は安全性が高い。クレジット取引全体に占めるIC決済比率は欧州ではほぼ100パーセント。日本は2016年半ば時点で20パーセント程度とみられ、米国やアジア諸国に比べても低い。

 日本クレジット協会によれば、2017年1~6月の偽造被害額は前年同期比24パーセント増の20億2000万円。近年急増している。国際犯罪組織が偽造カードの使用が困難になった欧米を敬遠し、日本の店舗を狙い撃ちしている可能性がある。改正割販法は日本から偽造カードの締め出しを狙う。

対応分かれるコンビニ大手

 ただし、加盟店の対応には温度差がある。コンビニエンスストア大手3社のうち、ローソンは2018年1月30日から全店でIC対応を始める。セブン-イレブン・ジャパンは2017年10月からIC決済端末を内蔵する新型POS(販売時点情報管理)レジの導入を始めた。2018年秋に全店でIC対応を始める予定だ。ファミリーマートはIC決済導入に着手していない。「2020年3月までの対応を予定している」(広報)。

 つまり、セブンとファミマは2018年6月以降しばらくは「違法状態」になる。加盟店に罰則はないが、加盟店と契約しているカード会社は違法加盟店との契約を解除するなどの措置が求められる。割販法を所管する経済産業省商取引監督課は「端末数が多くシステム更改が必要な大手加盟店で対応が遅れがち。なるべく早く対応してもらいたいが、具体的な計画を立てて着実に法的基準を満たすように取り組んでいる場合は、ただちに契約の解除を求めるものではない」という。

 経産省が現実的な期限とするのは2020年3月末。カード会社や加盟店などで構成し、経産省がオブザーバーとして参加する「クレジット取引セキュリティ対策協議会」が策定した「実行計画」で定めた期日だ。ある小売業の関係者は「2019年の消費税増税に伴う軽減税率対応など開発案件が目白押しで、IC対応は急いでいない」と本音を語る。加盟店の対応が遅れるほど、世界中のカード不正利用が日本に集中する懸念が一段と高まる。

■変更履歴
最後から2段落目に「セブンとファミマは2017年6月以降」とあったのは「2018年6月以降」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2017/12/20 18:30]