訪日外国人、あるいは海外から多数の観客や大会関係者などが訪れる東京オリンピック・パラリンピックを見据えた通信インフラの整備が本格化しそうだ。

 契機となりそうなのが、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)が2017年11月8日に公表した、「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会」における携帯電話の通信環境整備を推進するためのガイドライン。名称は「東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた携帯電話の通信環境整備ガイドライン」(以下、ガイドライン)だ。

 組織委員会はガイドライン作成に当たって、携帯電話事業者4社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、UQコミュニケーションズ)に働きかけ、「モバイル環境整備連絡会」(MOOG)を2016年7月に立ち上げた。大会に向けた携帯電話通信環境の整備を依頼し、議論をしながらガイドラインを作成したという。

 何しろ、大会の動員数は膨大だ。組織委員会の想定では、オリンピック競技大会は39会場で開催し、観客780万人、選手とNOC(国内オリンピック委員会)1万8200人、国際競技連盟2900人、メディア2万5800人、マーケティングパートナー1万7100人、スタッフ16万8000人の規模になる(2017年5月時点の数値)。

 こうした観客や大会関係者にとって、LTEをはじめとする携帯電話回線を用いた高速データ通信は必須のインフラになる。

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が開いた記者ブリーフィングの様子
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競技場でつながらないエリアを減らす

 組織委員会の井上淳也テクノロジーサービス局情報基盤部長はガイドライン公表時の記者ブリーフィングで、日本の技術や通信環境に期待して来日する観客や関係者が、つながらないために失望感を持つことがないようにするため携帯電話通信環境の整備は重要だと強調した。

 携帯電話やスマートフォンは観客はもちろん、大会関係者も利用する。「昨今はアプリケーションを使って事務連絡をする関係者が増えてきている。携帯電話は大会運営にとっても、不可欠のインフラになってきている」(井上部長)。

 ガイドラインに記載されているのは、観客と大会関係者がストレスなく通話とデータ通信ができる環境を会場とその周辺に整備するため、携帯電話事業者と施設所有者、組織委員会が連携して設備の設置と保守を実施する指針だ。

 目標基準として、会場とその周辺において音声通話は20%のユーザーが同時に電話をしてもつながるとしている。データ通信に関しては、100%の接続と混雑時以外にユーザーが動画コンテンツなどを快適に利用できることを挙げている。

 事業者の具体的な作業としては、競技場などの屋外と、屋内の電波が届きにくい場所にアンテナを設置し、携帯電話がつながらないエリアを減らす「不感地対策」と混み合うことへの「輻輳対策」を実施する。設備の整備にあたっては、装置やアンテナの設置場所を競技場などの施設所有者から借りる、スペースを空けてもらうといった対応が必要になる。

 そこで組織委員会では、例えば施設所有者へ設備増設の必要性と協力を申し入れたり、携帯通信事業者の設備設置プランを取りまとめ、携帯事業者と一緒に施設所有者へアンテナや基地局設置のため協力を依頼したりする。また施設所有者の要望に応じて、携帯通信事業者の設備設置プランを取りまとめ、携帯通信事業者間の設備設置プランや工事日程を間に入って調整するという。

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