電子カルテを中核とする病院情報管理システムの開発が失敗した責任を巡り、旭川医科大学とNTT東日本が争っていた訴訟の控訴審判決は一審判決を覆す内容だった。

 札幌高等裁判所は2017年8月31日、旭川医大に約14億1500万円を支払うように命じた。2016年3月の一審判決は旭川医大の過失割合が2割、NTT東が同8割として双方に賠償を命じていたが一転、旭川医大に100%の責任があるとした。同医大は2017年9月14日、判決を不服として最高裁に上告した。

 なぜ判決が覆ったのか、裁判資料かと判決文から見ていく。旭川医大とNTT東は日経コンピュータの取材に「コメントできない」と回答した。

図 旭川医科大学/NTT東日本の主張と札幌高裁の判決
地裁判決から一転、ベンダーの主張を全面的に認めた
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高裁もユーザーの義務違反を認定

 旭川医大は2008年8月に病院情報管理システムの刷新を企画し、要求仕様書を基に入札を実施。NTT東が落札した。日本IBMと共同開発したパッケージソフトをカスタマイズし、6年リースで提供する計画だった。

 だがプロジェクトの開始直後から、現場の医師から追加開発の要望が相次いだという。2009年3月の会議では、同医大の医師が「現行システムの機能が提供されないと現場の混乱につながり、認められない」と発言し、他の医師も賛同。同医大は数百件の追加開発をNTT東に要望した。

 2009年7月、NTT東が625項目の追加開発要望を受け入れたうえで仕様を凍結し、システムの本番稼働を当初予定の2009年9月から2010年1月に延期することで両者は合意した。

 だが、仕様凍結後も追加の要望は止まらず、旭川医大はさらに171項目の開発を要望したという。

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