米マイクロソフトのクラウドサービスMicrosoft Azureの一部機能をオンプレミス(自社所有)環境で提供するアプライアンス製品「Azure Stack」が、2015年の発表から2年を経てついに登場する。2017年7月に受注を始め、出荷開始は9月上旬の予定だ。鳴り物入りで登場する製品だが、早くも販売戦略を巡ってマイクロソフトと国内パートナー企業の間で隔たりが見られる。

AzureのPaaS・IaaSをオンプレミスに拡張

 Azure Stackは、AzureのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)・IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)の一部を実現するもの。米デルEMC、米HPE、米レノボなどがマイクロソフトの専用ソフトを組み込んだアプライアンス製品を開発し販売する。アプライアンスの金額は未定だが、関係者の情報を基にすると、最小構成時で数千万円と見られる。PaaS/IaaS機能を利用する料金は別途従量課金。また、各種ライセンス料が別にかかるもようだ。

 日本マイクロソフトの高添修インテリジェントクラウドテクノロジー本部テクノロジーソリューションプロフェッショナルは、「AzureユーザーがAzure環境をオンプレミスに拡張するための製品」と説明する()。

図●Azure Stackを巡るマイクロソフトと一部パートナーの方針の違い
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 専用ソフトが実現する機能は、仮想マシンサービス「Azure Virtual Machines」、オブジェクトストレージサービス「Azure Blob Storage」、アプリケーション実行基盤「Azure App Service」、イベント駆動型コード実行基盤「Azure Functions」など。AI関連の「Azure Machine Learning」「Microsoft Cognitive Services」など対応していないサービスもある。

 PaaSやIaaSの機能に加えて、管理ツールのUI(ユーザーインタフェース)や管理用API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)の仕様もAzureと共通だ。これにより、オンプレミス側のシステムも、Azure用のツールで一体化して運用できる。

 APIの仕様が共通という特徴は、Azureに詳しいITエンジニアから歓迎の声が上がる。日本ビジネスシステムズの胡田昌彦クラウドアライアンス開発部部長は、「ユーザー企業は、世界中のAzureユーザーが持つ先進的なノウハウを自社のプライベートクラウドにすぐ取り込める」と話す。例えば他社ユーザーが作成・公開したコードを、自社に導入したAzure Stackに流用しやすい。

 Azure Stackと類似の製品はクラウドサービス最大手のAmazon Web Servicesには存在せず、Azureのパートナー企業からは歓迎の声が聞かれる。

MSは「既存ユーザー向け」と強調するが

 しかしAzure Stackが、どんなユーザー向けかという点で、マイクロソフトと一部のパートナーの間で見解・思惑が分かれる。

 まずマイクロソフトは、「既にAzureを活用しており、オンプレミスにもAzureと同様の基盤を拡張したいユーザー企業向け」(日本マイクロソフトの高添氏)と位置付けている。Azureユーザーが活用をさらに進めるうえでの課題を解決する製品というわけだ。

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