2017年7月7日午後7時30分ごろ、東京・新宿にある損保ジャパン日本興亜本社ビルに主に30代の若者、約30人ほどが続々と集まってきた。正面玄関の自動ドアには既に鍵がかかっている時間だ。一行は地下1階にある通用口で受付を済ませ、40階にある「SOMPO Digital Lab」の会議室に向かった。

 集まってきたのは、データサイエンティスト養成講座「DATA SCIENCE BOOTCAMP」の第1期生。この講座は、保険大手のSOMPOホールディングスとIT人材の養成学校を運営するデジタルハリウッドが共同で開催してきたものだ。4月から3カ月間実施してきた実践的な養成プログラムは、この日が最終日。約5人ずつ5チームに分かれ、各チームでの共同作業の成果を発表した。

SOMPOホールディングスらが開催したデータサイエンティスト養成講座「DATA SCIENCE BOOTCAMP」最終日の様子
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 SOMPOホールディングスがこの養成講座を開いた目的は、データサイエンティストの中途採用を強化するため。受講生のなかから優秀な人材を採用することを狙っている。

 現在、人材の枯渇が指摘されているデータサイエンティストの中途採用は、多くの企業にとって困難な状況。それならば、「育成と採用を同時に進めてしまえばよい」とSOMPOホールディングスは考えたわけだ。同社の楢崎浩一常務執行役員グループCDOは、DATA SCIENCE BOOTCAMPの開講を発表した記者会見の場で「この養成講座の全参加者に採用の可能性がある」と述べた。

SOMPOホールディングスの楢崎浩一常務執行役員グループCDO
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 中途採用のための施策としては珍しいこの養成講座には、当初予想を上回る応募があったという。定員30人のところ、約2倍の60人弱が受講を希望。面接の結果、25人が通過した。その人員にSOMPOグループ会社からの希望者5人を加えた30人が1期生になった。

 データ分析の知識を持っているかどうかは問わなかったことから、多様な経歴を持つ人材が集まった。勤務先も様々。1期生が所属していたのは、総合電機メーカー、大手建設会社、総合商社、政府系機関、薬剤師など、保険業務に直接は関係ない企業がほとんどだった。

中途採用策としては効率悪い!?

 ただ、この養成講座の取り組みは効率の良い中途採用策とは言いがたい。講座の最終日の時点では、明確にSOMPOホールディングスに転職を希望している受講生は、25人のうちの数人だけだったという。

 それでもSOMPOホールディングスは、養成講座は⼀定の成果があった、としている。その理由は、優秀な⼈材の確保以外に「第2、第3 の果実」があったからだ。

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