「ただ乗りは無罪」。第三者の無線LANアクセスポイント(AP)を使ってインターネットにつなぐ「無線LANただ乗り」など、複数の罪に問われた被告の判決が2017年4月27日、東京地裁で言い渡された。検察が控訴しなかったため、大手新聞社などのメディアは「ただ乗りは罪に問えない」と報じた。これに対し電波行政を担当する総務省は5月12日、「ただ乗りは無罪ではない」と電波法第109条に抵触する可能性があると反論した。その主張は、苦しまぎれと言われても仕方ない。

WEPを使って暗号化していた

 被告は、第三者のAPを使ってフィッシング詐欺を行い、第三者の銀行口座から自分の口座に送金していた。不正アクセス禁止法違反などで懲役8年の実刑が下ったが、無線LANただ乗りについては無罪だった。

 悪用されたAPは通信の暗号化にWEPを利用していた。WEPは以前から脆弱だといわれていて、パソコンとAPの間でやり取りされるARP応答パケットを約4万個傍受すれば、暗号鍵(WEP鍵)を解析できる手法が見つかっている。この手法を使った解析ソフトも存在し、Webサイトや雑誌の付録などで簡単に入手できる。被告も、解析ソフトを使って暗号を破ったとされる。

 検察は、WEP鍵は「無線通信の秘密」であり、こうした行為は電波法第109条に抵触するとしていた。しかし東京地裁は、WEP鍵自体は通信内容ではないので「無線通信の秘密」に当たらないとして無罪と判断した。

電波法第109条では、「無線通信の秘密」を漏らしたり窃用したりすることを禁じている。
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