米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)がITインフラの新戦略を打ち出した。柱はオンプレミスやプライベートクラウドのシステムを運用・監視をクラウドと合わせて一元化する「ハイブリッドITのシンプル化」だ。運用・監視が簡素化できれば、ハードウエアベンダーとしての強みが生かせるオンプレミスやプライベートクラウドの市場規模がクラウドと一緒に成長するとみている。

 料金体系でもオンプレミスやプライベートクラウドをクラウド型で使える施策がある。HPEは2016年にサーバーやストレージをオンプレミスでも従量課金制で使える販売プログラムを複数開始している。クラウドサービスの利用料も運用・監視ツールが自動的に計測し、運用するシステムの運用費を合算して出力する。

 HPEはこの戦略にたどり着くまで、2度の大きな戦略変更を経験した。HPEのエンタープライズグループのエグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのアントニオ・ネリ氏は「激動の組織変革だった」と振り替える。1度目はクラウド事業からの撤退だ。

米ヒューレット・パッカード・エンタープライズのアントニオ・ネリ エンタープライズグループ エグゼクティブバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャー
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大手には勝てない

 HPE(当時は米ヒューレット・パッカード)は2015年10月に運営していたパブリッククラウド「HP Helion Public Cloud」のサービス停止を発表した。パブリッククラウド市場が成長すると見てベンダーとしての事業成長を狙っていたが、米アマゾン・ウェブ・サービスや米マイクロソフトといった「大手が巨額の投資をしていて、後発では張り合えないと考えた」(ネリ氏)という。

 HPEはクラウドからの撤退を決めた当初、プライベートクラウドを事業の中核としていた。ハードウエアの提供だけでなく、プライベートクラウドを構築するソフトウエア「OpenStack」やプライベートクラウドのインフラ管理をデータセンター事業者が代行するサービス「ホステッドクラウド」を拡販する戦略だ。しかしHPEは2016年9月、この戦略をやめた。2度目の戦略変更である。

 HPEは2016年9月、非中核事業として「IT運用管理」「アプリケーションデリバリ管理」「エンタープライズセキュリティ」「情報マネジメント」「ビッグデータ分析」などのソフト事業を英マイクロ・フォーカスに売却した。2016年11月にはOpenStackなどのクラウド基盤を構築するソフトウエア関連事業を独SUSEに売却すると決定した。クラウド上での利用を想定していたソフト事業を大幅縮小する、ソフト事業からの事実上の撤退だ。

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