日本通信は1月31日、ソフトバンクと相互接続協定書を締結した。高市早苗総務大臣は同日の定例記者会見で「協議再開命令発出の手続きを行っており、速やかに接続が実現することを期待する」と話していたが、事態は急転して日本通信が協議再開命令の申し立てを取り下げ、両社の和解のような決着となった。

 実は日本通信にとっては、サービスの開始を優先するため、やむを得なかった面がある。総務省が協議再開命令を出したとしても協議の期限までは指定できない。ソフトバンクにずるずると引き延ばされる可能性が高く、申し立てを取り下げてでも締結を急いだほうが得策と判断した。協議再開命令が出なくても、今回の答申で認められた解釈が覆されるわけではない。大臣の発言と矛盾するようだが、総務省が水面下でつなぎ役となったもようだ。

写真1●2017年1月27日に開催された電気通信紛争処理委員会の様子
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 総務省の今回の采配は圧巻の一言に尽きる。ソフトバンクはSIMカードが電磁的記録媒体にすぎず、電気通信設備に該当しないと反論したが、総務省は「SIMカードが電気通信設備または電気通信回線設備であるかどうかにかかわらず、日本通信の行為は接続の請求の一環をなすものと認められる」と一蹴した。ソフトバンクは「SIMカードが電気通信事業法第32条の適用範囲に含まれるのであれば、具体的な制度的根拠および法的根拠を書面で明確に示してもらいたい」などと食い下がったが、総務省は相手にしなかった。問答無用でソフトバンクに開放を迫る姿勢は、2007年に起こった日本通信とNTTドコモの相互接続紛争における大臣裁定を彷彿させた。

 日本通信は営業損益が赤字で苦しく、通期業績予想の下方修正を打ち消すために慌てて発表したといぶかしむ声もあるが、決してそんなことはない。むしろ、業績が黒字になるか赤字になるかの瀬戸際でソフトバンクとの交渉に臨んでいたからこそ、早期の決着につながった面がある。総務省も相当に手続きを急いだはずだ。

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