無料動画配信サイトで独占的なポジションにいる米グーグルのYouTubeが、有料のテレビ番組配信サービス「YouTube TV」を米国で開始した。「40チャンネル超で月35ドル」という破格のメニューは、既存のCATV事業者やSVOD(Subscription Video On Demand)事業者にとっては大きな脅威になりそうだ。

 米グーグル傘下のYouTubeは2017年2月28日、テレビ番組のストリーミング配信サービス「YouTube TV」の提供開始を発表した。月額料金は35ドルで、6アカウントまでの利用が可能。スマートフォン、タブレット端末、パソコンのほかにGoogle Chromecastを接続したテレビで視聴できる。OSはAndroidのほかiOSにも対応。アカウントごとに機能をカスタマイズした容量無制限のクラウドDVR(デジタルビデオレコーダー)が提供され、番組を最長9カ月間保存できる。同時に最大3本の番組のストリーミング視聴が可能となっている。

 まずは2017年内に米国の大都市から提供していく。グーグルによると月35ドルでの提供はケーブルテレビ(CATV)サービスの半額程度であり、米国のCATV事業者やコンテンツ提供者に大きな影響を与えそうだ。

40チャンネル超で月35ドル

 YouTube TVでストリーミング配信されるのは、米国を代表するスポーツ、ニュース、映画・ドラマなど、CATVでも提供されている40超のチャンネルである。具体的には、ABC、CBS、FOX、NBC、ESPN、Fox Sports、NBCSN、NBCSN、USA、FX、Bravo、National Geographic、Disney、Syfyなどだ(写真1)。既に月9.99ドルで提供している有料コンテンツ「YouTube Red」のオリジナル映画やドラマなども視聴できる。グーグル傘下ということもあり、強力な検索機能をウリにしている。

写真1●「YouTube TV」にコンテンツを提供するチャンネル
2017年3月末時点。
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年間視聴時間は合計10億時間超え

 現在のYouTubeには、個人がスマホなどでアップした動画以外にも、世界中のドラマ、ニュース、音楽、映画、バラエティーなどあらゆるテレビ番組がアップされている。もはやライセンス違反のコンテンツを探して削除依頼の報告をするほうが手間になるようで、YouTubeへのアップは認めざるを得ないというテレビ局も世界には多い。合法か非合法かを問わず、それが実態だから、もはやアップされている動画が非合法かどうかの議論は世界中でほとんどされなくなっている。

 2017年2月27日には、YouTubeにおける1日当たりの動画視聴時間が2016年に世界合計で10億時間を突破したことが明らかになった。これはユーザー1人当たりに換算すると毎日8.4分間、YouTubeを見ていることになる。特にスマホが普及したことで、YouTubeをいたるところで視聴する人が世界中で増加した。実際、YouTubeの視聴の60%がスマホやタブレット端末などモバイルからのアクセスという。また、誰もがスマホで簡単に動画を撮影して、その場ですぐにアップできるようになったため、YouTubeの動画コンテンツは無尽蔵に増え続けている。

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