この連載では、先が見えないプロジェクトを「暗闇プロジェクト」を担当するマネジャーにとって参考になりそうなヒントやノウハウを紹介している。

 前々回(部下はマネジャーのようには決して考えない、期待しても無意味)、前回(指示が意図した通りにメンバーに伝わったら、むしろ驚け)に続いて、「暗闇」でのメンバーマネジメントに関する二つのセオリーを取り上げる。

セオリー1
言行不一致こそ良いマネジメント

 あるIT企業でマネジャーを務めるR氏は、昨日と今日で言うことが正反対になる。顧客の要求が変わって、マネジャーからメンバーへの指示内容が変わるというのはよくある話だ。ところがRマネジャーの場合、顧客の要求とは全く関係なく、言うことがコロコロ変わるのである。

 昨日は「スケジュールは変更するな」と言ったのに、今日は「スケジュールはリスケ(再スケジューリング)を前提に作成するものだ」と言う。「ヒアリングリストの項目は絶対に変えるな」と言った翌日に、自分でリストの内容を変更したこともある。

「言っていることが違っていて当たり前だろう」

 メンバーに「昨日はスケジュールは変更するなと言ってましたが…」「ヒアリングリストは変えるなと言っていたではないですか」と矛盾をつかれても、Rマネジャーは少しも動じない。「ああ、そう言ったかもしれないな」の一言で終わりである。

 当然、メンバーは納得できない。さらに食い下がると、「もっと勉強しろ」と一喝されておしまいである。あるとき、それでも納得できないメンバーがさらにRマネジャーに迫ったところ、「昨日と今日は違うんだ。言っていることが違っていて当たり前だろう」と答えが返ってきた。

 メンバーにとっては、何ともやっかいなマネジャーである。今日は指示通りに作業して文句は言われないが、明日はひっくり返されるかもしれない。あるいは、指示通りにやっていても「融通が利かないやつだ」と叱られる可能性もある。

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