KLabの真田哲弥社長(右)と,プロトタイピングラボの藤好俊所長(左)
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 携帯電話向けサービスを開発するKLabは,2009年3月17日から恋愛応援サービス「ミャクアリ!?」を開始(同サービスの紹介サイト),多数のブログで取り上げられるなど注目を集めている。
 携帯電話向けの同サービスは,専用のメール・アドレスに携帯メールを転送,あるいはサービス・サイトのフォームにメールの内容をコピペすると,その文章の絵文字や漢字,言葉遣いなどを解析,相手がどれくらい好意を持っているかどうかを無料診断してくれるというものだ。同社の真田哲弥社長と,開発を担当したプロトタイピングラボの藤好俊所長に,開発の背景を聞いた。

このところKLabは,複数の銀行に対応したモバイルバンキング・アプリ(iアプリバンキング)や大量のメールを短時間送信できるサーバー(アクセルメール)の開発など,BtoB関連の事業に注力しているように見えていた。「ミャクアリ!?」は完全なコンシューマ向けサービスで,これまでの路線とは違うように感じる。その開発背景を教えて欲しい。

 信頼性が高いサービスを作ろうとすると,じっくり考えてきちっと設計する必要がある。ただ,それをやっていると,「これ,面白いんちゃうの?」というものに対応できなくなってしまうという危機感があった。

 だからといって,受託開発の部隊が「面白いから,とりあえずやっちゃえ」という考え方になると,現場に混乱が生じてしまう。当社が運営するサーバーに載せるソフトには厳格な基準があり,それに合致しないと載せられない。そこで,既存の組織とは別に,「プロトタイピングラボ」と呼ぶ専門組織を2008年9月に作っていた。サーバーは,ラボ用に別個に用意する。

 新設のラボでは,面白いと思ったらとにかくすぐ作ることにしている。まずやってみて,当たったらサーバーを信頼性が高いものに乗り換えるという発想だ。ミャクアリ!?は,その第一弾のサービスということになる。

ミャクアリ!?のトップページ
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ミャクアリ!?では,開発のスピード感はどれほどか。

 モバイルバンキング・アプリを担当する入社2年目の社員からアイデアが出て,昼休み後にその提案者と補助の技術者の2人が開発に着手し,その日のうちに第1版ができた。社内で評判が良かったので,その後3人が3週間をかけてブラッシュアップして,公開できたのが3月17日だった。

アイデアからサービスに至るプロセスはどうなっている。

 開発のゴーサインを出すかどうかは,所長が「面白いと感じるかどうか」の一存で決まる。アイデアを出した人,志望した人がラボで一定期間,開発を担当する。ただ,部署は既存部署に籍を残したままで兼務とする。

社内の反響はどうか。

 これまでに30件ほどの提案が出て,そのうち1/3がプロジェクト化の検討に進んだ。社内の雰囲気が変わっていることは実感できている。今後も多くの提案が出て,社内がさらに活性化することを期待している。

ミャクアリ!?は,ネット上で話題を集めた。プロモーションで気を付けたことは。

 サービスの内容に応じて,どこに載せてもらえるか,が重要だ。ヒット作品を出すにはコツがあると考えている。今回のサービスは,メッセージ性が分かりやすいこともあり,ミクシィのプログで火がつき始めた。「試してみて,こうだった」ということを,ブログネタとして書きやすかったようだ。

 

無料サービスとして提供している。どうやって儲けるのか。

 今のところ,明確なビジネスモデルはなく,登録制でメール・アドレスを集めている段階。だからといって,すぐに広告を送ることができないが,機能アップの案内などを通じて接点を持ち続けていく。

 IT系のビジネスは,ミス無くやるものと,早くやったがいいものの二つがある。明確なビジネスモデルがなくても,まずやってみようというのが,プロトタイピングラボの存在価値だと考えている。

 受託型のソリューション系ビジネスをやり続けていると,どうしても動きが遅くなる。大企業を相手のビジネスが増えて,受注の単価が大きくなると,会社としては利益が出て安定するが,面白くなくなる面もある。マネジメント層としては儲かる戦略を考えないといけないが,開発部隊が面白いものに鈍くなってはいけない。