文・中西 淳一(NTTデータ経営研究所 ソーシャルイノベーションコンサルティング本部 マネージャー)

 オープンガバメントとは、透明でオープンな政府を実現するための政策とその背景となる概念のことで、(1)透明性、(2)市民参加、(3)政府内および官民の連携---の3つを基本原則とします。米国ではオバマ大統領が就任直後に公表した大統領メモでその方針をいち早く表明しました。

 日本でも、政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)が2010年5月11日に公表した「新たな情報通信技術戦略」で、国民本位の電子行政を実現するための重要な政策として「オープンガバメント等の確立」を掲げたことで注目を集めつつあります。

先行する米国での取り組み

 米国では、オバマ大統領が就任直後の2009年1月21日に公表した大統領メモ「透明でオープンな政府」の中で、より一層開かれた政府を目指すために、「政府・政策・情報の透明性(transparency)」、「市民参加(participation)」、「政府内および官民の連携(collaboration)」という3原則を示しました。現在、この原則に基づき、様々な取り組みが行われています。

透明性を高める

 米国政府はオバマ政権誕生以前にも情報公開を積極的に進めており、例えば以前から存在していた「USAspending.gov」のサイト上では、連邦政府の契約、補助金、融資といった項目別に、支出元の省庁や、支出先の企業・団体の情報、金額、補助金の種類、場所などの情報が整理され、検索することが可能でした。しかし、オバマ政権ではさらに透明性を高める取り組みが行われています。

 まず代表的な取り組みとしては、「Data.gov」が挙げられます。これは行政管理予算局(OMB)が提供するサイトで、連邦政府機関が保有する国勢、環境、経済状況などの各種データセットを提供します。従来の情報公開との違いは、単に統計情報として集計結果を公表するだけではなく、生データやツール、地理情報を提供することで、利用者は加工や分析が容易に行える点です。

 もうひとつの特徴的な取り組みとして、「IT Dashboard」が挙げられます(図1)。こちらもOMBが提供するサイトで、連邦政府のIT投資の詳細を把握できます。従来の情報公開と違うところは、IT投資が効率的に実施されているかどうか、市民が分かりやすく判断できる点です。

図1●米連邦政府のIT投資の詳細を開示する「IT Dashboard」
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 IT Dashboardでは政府の個々のIT投資について、コスト、スケジュール、CIO評価(リスク管理、要件管理、請負業者の管理、過去の実績などで評価)という3つの要素で評価した結果が表示されるため、市民が容易に判断することが可能です。退役軍人省では、CIOがIT Dashboardの評価に基づいて、スケジュール遅延や予算超過が発生しているプロジェクトの見直しを行ったという事例も報告されています。

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