他人とのコミュニケーションでは、時として「言いにくい」ことを伝える必要性も生じます。仕事をするうえでも、上司と部下、同僚同士で、相手の心証を害する可能性が高いことを言わなくてはいけない場面が多々あります。年功序列が前提で、上意下達型のコミュニケーションが主流だった従来の日本企業に比べ、「自分より年上の部下がいる」「プロジェクト型組織で指揮命令形態がはっきりしない」など複雑さが増した今日の企業組織では、コミュニケーションがより難しくなっています。

 こうした課題を解決する解の1つが「アサーティブ・コミュニケーション」です。アサーティブは「自己主張が強い」ことを意味しますが、自分の要求を高圧的に押し付けることではありません。自分の思いを率直に伝えながら、相手の心証にも気を配り、人間関係をいたずらに損なうことなく目的を達成するための会話術といえるでしょう。発祥は1960年代の米国といわれ、有色民族や女性など社会的弱者とみなされていた人たちが、自分の意見を円滑に伝えるためのスキルとして発展してきました。

 アサーティブ・コミュニケーションでは、言葉はもとより、表情や目線などを使って意思を伝えることも必要です。こうしたスキルを社員に習得させるため、専門の研修会社を利用する企業も増えています。

出典:日経情報ストラテジー 2007年12月号 31ページより
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