ビジネスモデルを変え、カイゼン型開発を実践するソニックガーデン。その開発手法は、従来型の一般的な開発と何が違うのだろうか。同社の倉貫義人氏に、五つのポイントを解説してもらう。

 ソフトウエアの受託開発では、ベンダーがシステム構築を一括で請け負って、数カ月~数年かけて開発したプログラムをユーザーに納品する形態(以下、一括納品形態)が主流である。この一括納品形態は、市場ニーズやビジネス環境が短期間のうちに様変わりする分野のソフトウエア開発には適さない面がある。

 そこでソニックガーデンでは、「納品のない受託開発」という少し変わったスタイルのビジネスモデルで“カイゼン型”の受託開発を行っている。カイゼン型開発を押し進めるために、通常の開発方法から変えた五つの項目を図1に示した。なぜそう変える必要があったのか、それによって問題がどのように解消したのか説明していく。

図1●カイゼン型開発を押し進めるために変えたこと
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1)プログラムを納品しない:完成品ではなく改善を続けるから

 納品のない受託開発では、文字通りプログラムをユーザーに納品しない。クラウド上でサービスとして提供し、最初のシステムを開発して稼働させた後、常に改善し続ける(図2)。

図2●納品を前提としない開発で改善が進むサイクル
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 一括納品形態の場合、開発チームにとって重要なのは、プロジェクトのスタート前に約束した、システムを完成させて納品するまでの作業である。運用は別の会社やチームが受け持つことも多いので、納品後のことはあまり気に留めない。このため、納品したプログラムは、稼働後に機能の変更や追加を行うといった育てる作業がやりにくいものになることがほとんどだ。

 一方、ユーザーにとっては、システムは動き始めてからが本番だ。そこをスタート地点として、どれだけ育てられるかが重要なポイントになる。その場合に大切なのは、ニーズを見極めながら機能をどんどん付加したり、変更したりしていけるように、育てる作業がしやすいシステムを最初に構築することである。しかし、一括納品形態では、その要望への対応が難しい。

 要望に応えるには、随時改善し続ける開発に変えるべきだ。ソニックガーデンではプログラムを納品する代わりに、次に説明するように月額固定のサービスとして提供している。

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