MPEG-DASHの特徴

 MPEG-DASHの特徴は、スマートフォンやタブレット端末、テレビなど様々な機器に対して、動画が途切れないように帯域などの環境に応じてビットレートを切り替えることで、最適な高品質ビデオストリームを提供することを目的としている。音声や字幕を他言語で配信し、リモコンなどの操作で言語を切り替えて視聴するなどができることも特徴だ。

 動画ストリーミング配信には、RTSP (Real Time Streaming Protocol)やRTMP (Real Time Messaging Protocol)を使わずHTTPプロトコルを利用している。通常のWEBサイト同様にCDN(Contents Delivery Network)を利用することができ、配信コストを低減できる点も特徴となる。

 ISO/IECで標準規格として勧告化された「ISO/IEC 23009-1 MPEG-DASHパート1」では、MPEG-DASHクライアントが利用するストリーミング再生に必要な動画ファイルの情報が記載されたメタデータであるMPD(The Media Presentation Description)仕様と動画ファイルのセグメント形式について記載されている。

MPEG-DASHのシステム概要

図2●MPEG-DASH システム例-赤のボックス部分がMPEG-DASH仕様書に規定されている
出展:MPEG-DASHプロモータズ・グループサイトの「MPEG-DASH規格の概要」を参考に著者が作成
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 図2に、MPEG-DASHの基本システムを示す。一般的なWebサーバーである「HTTPサーバー」と「MPEG-DASHクライアント」から構成される。

 MPEG-DASHがサポートするメディア形式は、ISOベース・メディア・フォーマット(MP4形式、ISO/IEC 14496-12)とMPEG-2 TSフォーマットである。MPEG-DASHに対応した動画や音声のメディアファイルは、10秒程度の単位でセグメントに分割し、Webサーバーに格納する。Webサーバーに配置するメディアファイルは、初期化情報を含む「Initialization Segment」と秒単位に分割した「Media Segment」から成る。Initialization Segmentの中身は、ISOベース・メディア・フォーマットのMP4とMPEG-TSで異なる。MP4の場合は、ファイルタイプ(ftyp=”dash”)とセグメント全体のメタデータが、MPEG-2 TSの場合は、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、CAT(Conditional Access Table)、EMM(Entitlement Management Message)やPSI情報が格納されている。

 配信するネットワークが、帯域を保証していないオープンなインターネットであるため、ネットワーク帯域が変動することを考慮して、複数のビットレートに対応したメディアファイルを用意する。用意したメディアファイルに関する情報は、MPD(The Media Presentation Description)ファイルと呼ばれるストリーミング配信/再生に必要なメディアファイルの情報が記載されたメタデータに記述し、同じWebサーバーに配置するか、または専用サーバーに配置する。

 MPEG-DASHクライアントは、MPEG-DASHプロトコルで配信されたメディアファイルを再生するメディアプレーヤであり、最初にMPDファイル取得する。このMPDファイルの取得方法は、Webサイトからのダウンロードや電子メールでの取得などである。DASHクライアントは、取得したMPDファイルを解析し、メディアファイルの取得先やメディアファイルの種類、解像度、最大ビットレートやDRM情報を得て、HTTP-GET要求を使用して、セグメント化されたメディアファイルを取得して、メディアを再生する。

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