ITの重要性が増す一方で、情報システム構築プロジェクトの失敗が後を絶たない。ビジネスプロセス・アーキテクト協会(BPA-P協会)はプロジェクトの成功確率を上げるヒントを得るため、「プロジェクトのつぶやき」研究チームを立ち上げた。本連載は研究チームによる成果の一端を、エピソード形式で紹介している。

 前回(全社システムの状況を把握できないユーザー企業)は、システムをつぎはぎで開発してきたため、システム全体の状況を把握できない企業を紹介した。今回は、老舗の機械メーカーであるA社の例を紹介しよう(登場人物はすべて仮名)。


 従業員500人のA社は業界では堅実経営で知られ、毎期それなりの利益を出している。情報システム部門は6人で、平均年齢は45歳。業務の特殊性により、一度配属されると、他部門に異動することはめったにない。この10年間、新人の補充もない。3年前に、ベンダーX社の紹介で中途採用で35歳の部員が入った程度である。

 A社の佐藤社長は、創業者の息子である。大手商社に勤務していたが5年前にA社に入社し、昨年から社長を務めている。情報システムのことはさっぱり分からないが、最近同業他社が次々にCIO(最高情報責任者)を任命していると聞き、「うちもCIOを任命する必要があるな」と漠然と考えていた。

シーン1:A社社長室
「わが社もCIOを任命しなくてはいけない」

 佐藤社長は、松本社長室長に相談することにした。同氏は3年前に取引銀行から出向してきて、昨年転籍した。佐藤社長は何かと頼りにしている。

佐藤社長:松本さん、わが社もそろそろCIOを任命しなくてはいけないと考えているんだ。どう思う?

松本社長室長のホンネ
CIO? 情報システムを担当する役員ということかな。
いま一つイメージがわかないが、とりあえず話を合わせておこう。

松本社長室長:私もそう思います。システムが経営にとって重要になっているので、CIOを新たに任命したという話はよく聞きますし、当社も状況は同じです。石田情報システム部長はシステムの知識は豊富ですが、経営の観点からシステムをどのように使うべきかを考えるような方ではないですね。

佐藤社長:そこでお願いがある。「この人ならCIOに適任」という候補者を探してくれないか?

松本社長室長:やってみましょう。社内の人間を何人かピックアップして、またご報告します。

松本社長室長のホンネ
コンピュータのことが分かって、経営的なセンスのある人なんて、
うちの会社にいるのかな?

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