図●文部科学省のサイトにアップされた著作権法改正案の条文
図●文部科学省のサイトにアップされた著作権法改正案の条文
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 「著作権法の一部を改正する法律」が2012年10月1日に一部施行される。これは、6月20日に参議院本会議において可決・成立したもので、インターネットで違法に配信された音楽や映像を、それと知りながらダウンロードする行為(私的違法ダウンロード)に刑事罰を設ける条文を含んでいる(著作権法の一部を改正する法律の条文)。

 私的違法ダウンロードは、2010年1月1日施行の改正著作権法で民事上の違法とされていたが、刑事上の罰則規定はなかった。今回の法改正によって、罰則として2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはその両方が科されることになる。

文化庁の見解では一時キャッシュは侵害に当たらず

 今回の改正については、条文の書き方が曖昧なため違法ダウンロードの適用範囲が恣意的に拡大されるのでは、と懸念する声がある。

 例えば、YouTubeなどの動画サイトでは、効率的な通信を実現するため動画を一時ファイルとして保存しながら再生する方式を採用している。この一時ファイルへの保存をダウンロードと考えれば、著作権を侵害したコンテンツを動画サイトで視聴しただけで、違法ダウンロードと見なされる危険がある、というのだ。

 文化庁は2010年の著作権法改正の時点で、「通信を効率化するキャッシュ」は「送信の障害の防止などのための複製」であり、著作権の侵害には当たらないという見解を示している。

 文化庁の見解に従えば、一時ファイルに保存した違法コンテンツを視聴しただけでは著作権侵害とはならないはずだ。ただし実際に立件された場合、裁判で条文がどのように解釈されるかは、現時点ではっきりしていない。このため動画サイト利用者の間で、適用範囲について不安が広がっているわけだ。

 このほか、違法ダウンロードの適用範囲以前に、そもそも違法ダウンロードに罰則規定を設けることに反対する意見も根強くある。例えば、日本弁護士連合会は「私的領域における行為に対する刑事罰を規定するには極めて慎重でなければならない」として、2011年11月に刑事罰の導入に反対する意見書を発表した。

 これに対して、コンテンツ業界側では改正案の成立を歓迎するコメントを発表している。

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