最後に、無線LAN関連の機能を見ていこう。Windows 7では、「Virtual Wi-Fi」と「SoftAP」をサポートする。Virtual Wi-Fiは物理的に一つのアダプタを、論理的に複数のアダプタに分割して利用できる機能だ。SoftAPはソフトウエア・べースの無線LANアクセス・ポイント(AP)として他の無線クライアントからのアクセスを受け付ける機能である。この二つはセットで動作する。

 利用形態としては、論理アダプタの一つでインターネットに接続しつつ、もう片方の論理アダプタで、他の機器に対してソフトウエアAPとしてIPアドレスを割り当てるといったスタイルが考えられる。

 物理アダプタを論理アダプタ1、論理アダプタ2に分けたケースを例に見てみよう(図10)。それぞれの論理アダプタには別々のMACアドレスが割り当てられている。論理アダプタ1は無線クライアントとして振る舞い、外部の無線ブロードバンド・ルーターを経由してインターネットにアクセスしている。もう一方はソフトウエアAPとして他の機器と小規模なLANを形成する。ここで形成される無線ネットワークをPANと呼ぶ。

図10●物理的に一つのアダプタを、論理的に二つのアダプタとして扱う「Virtual Wi-Fi」と「SoftAP」の構成例
Virtual Wi-Fi は、物理的に一つのアダプタを、論理的に複数のアダプタに分割して利用する機能。SoftAPは、ソフトウエア・べースのアクセス・ポイントとして他の無線クライアントからのアクセスを受け付ける機能。どちらもWindows 7とWindows Server 2008 R2に組み込まれる。
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 ただし、ソフトウエアAPが形成した他の機器との接続は、PAN内に閉じられたものになる。ソフトウエアAPはDHCPを割り当てる機能は持つが、ブロードバンド・ルーターのようにNATの機能は持たない。パソコンがルーターとして振る舞う場合はVirtual Wi-Fiと、Windows XPなどでも採用されている機能「ICS」を使う。ICSは複数のネットワーク・インタフェースを持つパソコンで、ブロードバンド・ルーター相当の機能が使えるようになるというWindowsの機能だ。

 なお、Virtual Wi-FiとSoftAPをWindows 7上で利用するには、ドライバなどアダプタ側の対応が必要だ。現時点では具体的な予定はないが、ハードウエア・ベンダーがWindows 7ロゴを取得する際のアダプタの要件に、Virtual Wi-FiとSoftAPへの対応が含まれている。そのため、「今後、対応ドライバがリリースされることになるだろう。ユーザーは、パソコンやネットワーク機器のメーカーなどが用意した専用アプリケーションからVirtual Wi-FiやSoftAPの機能を使えるようになる見通し」(マイクロソフトの細井氏)だという。

 無線LAN関連のもう一つの強化点として、Windows 7では「Wake on Wireless LAN」がサポートされた。Windows XPなど以前のバージョンのころから、有線LANを通じてスリープやハイバネーションの状態からパソコンを起動する「Wake on LAN」という機能があるが、これを無線LAN経由で実行することができる。

出典:日経NETWORK 2009年8月号 p.31
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