解決策(1):2種類の洗い出し方法を使い分ける

 作業の洗い出しで最初に悩むのは,「何に着目すればよいか」という点だろう。官公庁のシステム開発を手掛けるユー・エス・イーの北野文章氏(技術営業本部 ビジネス情報サービスグループ グループ長代理)もそうだった。北野氏は「以前は思いつくままに作業を挙げていたが,やみくもに作業を洗い出すとどうしても抜け・漏れが出てしまった」と振り返る。

 そこで北野氏は「成果物」と「プロセス(手順)」に着目して作業を洗い出すようにした。前者は成果物を階層的に分割して各成果物にひも付く作業を洗い出す方法,後者はプロジェクトの開始から終了までに実施する作業を時間軸に沿って洗い出す方法である。

 注意したいのは,二つの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあることだ。成果物ベースで洗い出す方法は「成果物の抜け・漏れをなくしやすい」というメリットがある一方で,「レビューなど会議体が漏れやすい」というデメリットがある。プロセスベースで洗い出す方法は「作業の前後関係が明確になる」といったメリットがあるが,「成果物の抜け・漏れが発生しやすい」「作業の洗い出しに経験が必要」というデメリットがある。

 そのため北野氏は,メリットとデメリットを考慮しつつ,プロジェクトの特性に応じて二つの方法を使い分けている(図2)。基本は成果物ベースで洗い出す。成果物の種類や量が多い一般的な大規模プロジェクトでは,成果物の漏れが発生する可能性が高いからだ。これに対して,成果物の種類や量が比較的少ない保守開発やパッケージ導入などの一部のプロジェクトは,プロセスベースで作業を洗い出す。経験豊富なメンバーが参加するプロジェクトも,詳細な作業手順を洗い出すことが可能と考え,プロセスベースで作業を洗い出している。

図2●プロジェクトに応じて成果物ベースかプロセスベースを選ぶ
作業を洗い出す方法は大きく2種類ある。ユー・エス・イーの北野文章氏は,成果物の種類や量が多いプロジェクトでは成果物ベース,少数精鋭でスピード感があるプロジェクトではプロセスベースなど,プロジェクトの特性に応じて洗い出す方法を選んでいる
[画像のクリックで拡大表示]

解決策(2):成果物をさかのぼって洗い出す

 大規模プロジェクトを中心に手掛けるプライスウォーターハウスクーパースコンサルタントの桂憲司氏は,成果物の抜け・漏れが少ない成果物ベースの方法にこだわる。ただし,「レビューなど会議体が漏れやすい」という問題への対策を忘れない。

 レビューや検討会議といった会議体には,たいてい議事録や検討資料といった中間成果物がひも付く。つまり,中間成果物を洗い出すことができれば,会議体の漏れを減らせるわけだ。ただ,中間成果物は「最終成果物を分割していく方法では洗い出しにくい」(桂氏)。そこで取り入れたテクニックが,成果物の作成順序をさかのぼって中間成果物を洗い出す方法である(図3)。

図3●作成順序をさかのぼって中間成果物を洗い出す
成果物ベースで洗い出す場合,議事録や検討資料などの中間成果物が漏れやすい。プライスウォーターハウスクーパースコンサルタントの桂憲司氏は,成果物の作成順序をさかのぼって確認することで中間成果物の抜け・漏れをなくしている
[画像のクリックで拡大表示]

 例えば,「基本設計書」という成果物を作成するために必要な成果物は何か,と考える。ここで「業務プロセス設計書」や「データフロー図」を洗い出したとしよう。次に「業務プロセス設計書」や「データフロー図」を作成するために必要な成果物は何かと考える。こうしてさかのぼっていくと,レビュー時の「議事録」や検討会議の「検討資料」といった中間成果物を思いつきやすいという。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)登録で5月末まで無料!