以前から予想されていたことではあるが,サーバー向けプロセッサのコア数は増え続け,2011年には16コアにまで達する見通しだ。

 米AMDは,2010年に製造プロセス45nmで8~10コアのサーバー用プロセッサ「Magny-Cours(マニクール,開発コード名)」を,2011年には32nmで12~16コアの「Interlagos(インテルラゴス,同)」をリリース予定だと発表した。あと2年余りで,プロセッサの性能が3~4倍(クアッドコアとの比較)に高まるとしている。開発計画を前倒しにして,Intelとの開発競争を優位に進めたいようだ。

 一方の米Intelは,公式には8コアまでのプロセッサ(開発コード名Nehalem-EX,2009年後半以降にリリース予定)しか発表していない。しかし,AMDと同様の製品計画を立てている(あるいはAMDに合わせて計画を変更している)ことだろう。この3月には,「Core i7」と同じ基本設計のXeon 5500シリーズ(開発コード名Nehalem-EP)を発表しており,サーバー向けプロセッサを着々と新しい世代に移行させている。

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強大なプロセッサ・パワーをどう生かすべきか

 プロセッサの性能は,これまで通り順調に伸び続けていく。あとは,この強大なプロセッサ・パワーを何に使うべきかを考えなければならない。現在,多くの企業で「1サーバー機=1アプリケーション」というシステム構成をとっているが,16コアCPU時代には通用しなくなる。「プロセッサ・パワーが余りすぎてしまう」というケースが,今よりもっと増えるからだ。

 高性能プロセッサの用途はいろいろ考えられるが,最も期待されているのは「サーバー仮想化」だろう。サーバー仮想化技術を使って「1仮想サーバー=1アプリケーション」とし,複数の仮想サーバーを1台の物理マシンで動かす手法である。リソースの有効利用につながり,省電力化も期待できる。

 IDC Japanによれば,仮想化ソフトウエア製品の国内市場規模は,2008年実績の298億円から,2013年には734億円まで拡大するという。サーバー仮想化ソフトの基礎となる「ハイパーバイザー」の無償提供が広がっているにもかかわらず,高成長を維持するという予測だ。

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サーバー機の入出力性能や搭載メモリー容量が大幅アップ

 サーバー・ベンダーも,サーバー機の仮想化対応を積極的に進めている。ポイントは主に2つある。サーバー統合により不足しがちとなっていた「入出力性能」と「主記憶容量」の確保だ。この春,Xeon 5500シリーズと同時期に発表されたサーバー製品は,これらを大幅に強化している。

 例えば日立製作所のブレードサーバーBladeSymphonyの新機種「BS2000」では,I/O性能が162Gビット/秒で従来機種「BS1000」の7倍,メモリー容量は144Gバイトで同4倍になった。

 日本IBMのブレードサーバー「BladeCenter HS22」も,搭載メモリー容量を従来モデル比3倍の96Gバイトに増強,入出力のデータ転送速度を数倍に高めている。また,ブレード内にUSBポートを備えており,仮想化ソフトを組み込んだUSBメモリーを組み込むことでサーバー仮想化ソフトを直接起動できるようにしている。

 米Cisco Systemsは,別のアプローチで仮想化を進めている。同社は3月16日,データセンター向けシステム「Unified Computing System」を発表した。LAN,SANを統合した10Gbps Ethernetをベースに,Xeon 5500シリーズを搭載する自社製ブレードサーバー「UCS B-Series」を投入。サーバー,ストレージ,ネットワークを連携させた“フル仮想化”を目指している。

 サーバー仮想化ソフトもクラウド・コンピューティングを志向した新たな段階を迎えている。サーバー仮想化ソフトVMware Infrastructure 3の後継となる「VMware vSphere 4」は,社内のリソースを仮想化した上で,それが一時的に不足したとき,社外のクラウド・サービスと連携してリソースを最適化できるようにする考えだ。

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