日経コンピュータは5年ぶりに、ユーザー企業の情報システム部門を対象としたシステム開発プロジェクトの実態調査を敢行した。第1回は2003年。当時は国内初の調査である上に、「システム開発プロジェクトの成功率は26.7%」という数字が業界の注目を集めた。プロジェクトの実に4分の3が失敗に終わっているという衝撃の結果だった。

 今回は成功率の推移だけでなく、システム開発の実態がこの5年間でどのように変化したのかに焦点を当てる。調査は大手から中堅・中小に至るまで合計8800の企業を対象に実施した(回答企業のプロフィルは本文の末尾を参照)。

 調査対象とするプロジェクトは2007年度あるいは2008年度に稼働、もしくは稼働予定のプロジェクトとした。条件に当てはまるプロジェクトが複数ある場合は、規模が最も大きい代表的なプロジェクトについてのみ回答してもらった。プロジェクトを1社につき一つに絞ったのは、それぞれの企業が想定する「最も力を入れた(入れている)、直近の案件」を明らかにし、その傾向を知るためだ。

成功率は5年前とほぼ同じ

 経年変化を見るため、成功率の算出方法や質問項目については基本的に前回調査を踏襲した。ここでいうプロジェクトの成功率とは「Q(Quality)、C(Cost)、D(Delivery)」、すなわちシステムの「品質」「コスト」「納期」の3点について当初の計画を順守できたかどうかを尋ね、その回答を基に算出した値となる。

 編集部では、品質、コスト、納期の3基準すべてで「当初計画通りの成果」を収めたプロジェクトだけを「成功」と定義した。やや厳しいと見る向きもあるかもしれない。確かにプロジェクトの成否をどこで判断するかは難しい問題だが、日経コンピュータではこの3基準を満たしていなければ確実に成功とは言い切れないと考え、このような指標を設定した。

 この算出方法から有効回答の814件を分析したところ、プロジェクトの成功率は31.1%だった。前回の26.7%より増加したとはいえ、四捨五入すればどちらも3割。著しい変化はなかったと言っていいだろう。

 この結果は意外だった。編集部では、5年間の状況の変化がプロジェクトの成功率向上に何らかの寄与をしているのではないかと予想していたためだ。日経コンピュータでも報道してきたように、システム開発を成功に導くための各種手法の登場、ユーザーとベンダーの関係の変化、市場環境の悪化によるコスト管理の厳格化など、この5年でプロジェクトの成功率に影響するような出来事は多々あったはずだ。

 しかし、それらは成功率を大きく変化させる要因にはなり得なかった。実際、大手企業のシステム構築案件を数多く手がける札幌スパークルの桑原里恵システムコーディネーターによると「日々ユーザーとかかわっている印象からすると、成功率3割というのは実感と相違がない値だ」という。ならばこの5年間の試みは無意味だったのだろうか。

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